研究課題/領域番号 |
23590849
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
湯浅 勲 鳥取大学, 医学部, 准教授 (00093633)
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キーワード | 日本人 / 集団特異遺伝子 / 個人識別 / PCR / DNA解析 |
研究概要 |
本研究の目的は、新しい個人識別法として、比較的少数のDNAマーカーを用いて、生物学的資料が日本人であること、日本人由来であることを推定証明する方法を確立することである。この目的を達成するためには、日本にかなり以前の世代から在住している人々にマーカーの出現が限られていることが重要である。鳥取と沖縄の日本人、ソウルの韓国人、ウランバートルのモンゴル人、中国無錫と長沙の漢民族、ネパールのチベット人、ミュンヘンのドイツ人、ナイジェリア・ガーナのアフリカ人計875名について、HapMapデータから選んだSNPをアリル特異的なPCR法であるAPLP法によって検索した.これら9集団の調査の結果、日本人のみに出現したSNPを日本人特異的,韓国人にも出現したものをほぼ日本人特異的とした。現在までのところ、連鎖をしていない独立の(ほぼ)日本人特異的なSNPの数が当初の目標であった50例に達することができた。このうち、半分以上が韓国人でも低頻度ながら観察された。沖縄より鳥取で頻度が高かった特異遺伝子は少数で、全体に頻度が低かった。残りの特異遺伝子は沖縄で2倍程度頻度が高かった。個人が有する特異遺伝子の数には相違があり、これを沖縄度と名づけた。韓国人でも見出されるのは、韓国人と日本人が遺伝的に近縁であり、韓国人においても少なからず縄文的要素が残存しているためであると思われた。そのため、確率的な証明を検討するとともに、簡便なマルチプレックスPCR法を確立するために、SNaPshotを用いた一塩基伸長法による方法の開発に着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目的の日本人特異的SNPを50個余り見つけ、これを用いると、個々の日本人すべてからこれらの特異的変異遺伝子が見出され、日本人であることの証明が可能となった。最終年度の目標である特異的変異遺伝子のマルチプレックス化も開始し、最終目標が達成可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
現時点で50余りの日本人特異的SNPを見出すことができたが、まだ、探索分析していない染色体領域もあるため、引き続き、目的のSNPを調査する。一方、マルチプレックス化としてSNaPshotを用いた一塩基伸長法で、これらのSNPの簡便なタイピング法や確率計算法を完成させる。
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次年度の研究費の使用計画 |
試薬の単品単価が残金より高額であり、試薬の購入ができなかった。翌年度分の消耗品費とあわせて、消耗品費として使用する。
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