研究課題
本研究の目的である新しい個人識別法としての日本人証明のための方法を確立するためには、日本人特異的なSNPが必要である。今年度もゲノムデータベースから選択したSNPについて、鳥取と沖縄の日本人、ソウルの韓国人、ウランバートルのモンゴル人、中国無錫と長沙の漢民族、ネパールのチベット人、ミュンヘンのドイツ人、ナイジェリアとガーナのアフリカ人の計875名のDNAを用いてスクリーニングをした。その結果、新しく10数例の日本人特異的SNPを追加し、計65例となった。前年度までに報告したように、これらの特異的SNPの約半数は韓国人でも低頻度に観察されるほぼ日本人特異的SNPであった。また、大半で、沖縄の日本人が最も高い頻度を示したので、これらの特異的遺伝子をもつ個数の相違にもとづいて、沖縄度と名づけていた。今回、沖縄で頻度が高いために、これらのSNPが縄文由来であるという仮説を立て、北海道の縄文遺骨の調査した。対象としたSNPはGALNT11、H19、PLA2G12Aに存在す特異的SNPである。その結果、特異遺伝子の頻度は高いことが観察され、沖縄で高く出現するこれらのSNPは、縄文由来であることが裏付けられた。これらの3SNPについて、アジアの諸集団における調査も追加したところ、H19において、中国東北部のオロチョン族で低頻度に観察された。このことは、縄文系遺伝子の由来がアジアの北部で、見つかったのがその名残りである可能性、あるいは、北海道アイヌの交流の可能性等が示唆された。実用化を目指すために、頻度が高く、連鎖がないものを50種選び、これを5セットにわけ、SNaPshotを用いた一塩基伸長法によるマルチプレックス法を確立した。現在、この方法を本研究のタイトルであるJapanesePlex法として論文作成中である。
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