研究課題/領域番号 |
23590857
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
李 暁鵬(中内暁博) 昭和大学, 医学部, 講師 (90245829)
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キーワード | 超高速UFLC / リニアイオントラップ / タンデムMS / マススペクトルライブラリー / 高速高感度分析 / ベンゾジアゼピン系薬剤 / 非ステロイド系抗炎症鎮痛薬 / バルビツール酸系薬 |
研究概要 |
本年度は以下の結果を得た。 1.ベンゾジアゼピン系向精神薬、非ステロイド系抗炎症鎮痛薬について生体試料直接注入UFLC/MS/MS迅速分析システムの確立および最適化 32種類のベンゾジアゼピン系薬物にはカラムスイッチング法を用い、13種類の非ステロイド系抗炎症鎮痛薬については順相カラムを用いた直接注入法をそれぞれ応用し、selected reaction monitoring (SRM)の設定を行い、高感度定量法の最適化をを行った。ESI法を用いたSRM測定により32種類のベンゾジアゼピン系薬物は7分以内に感度良く検出された。回収率は83-95%で、5~200 pg/0.1 mlの範囲で良好な直線性が得られた。検出限界は2~5 pg/0.1 mlであった。また、13種類の非ステロイド系抗炎症鎮痛薬は3.5分以内に感度良く検出された。回収率は主ね62%以上で、検量線は1~250 ng/20μlの範囲で良好な直線性が得られた。検出限界は0.5~2.5 ng/20μlであった。 2.バルビツール酸系薬物について生体試料直接注入UFLC/MS/MS迅速分析システムの確立 Barbitalを始め8種類のバルビツール酸系薬物はAPCI法を用いたNegative Modeが最適であった。各薬剤のフラグメンテーションの解析を行い、MS、MS/MS、EPI、およびMS/MS/MS等のマススペクトルライブラリーの作成を行った。8種類のバルビツール酸系薬物は3分以内に分離良く検出され、回収率は80~92%であった。また、1~500 ng/0.1 mlの範囲で良好な直線性が得られ、検出限界は0.1-1 ng/0.1 mlであった。本法は、ヒト血漿中バルビツール酸系薬物の迅速・簡便かつ高感度なハイスループット分析が可能であった (Forensic Toxicol 31巻,9-20頁,2013)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H24年度「研究目的」の達成度は70%であった。 ベンゾジアゼピン系向精神薬、非ステロイド系抗炎症鎮痛薬について生体試料直接注入UFLC/MS/MS迅速分析システムの確立および最適化ができた。 バルビツール酸系薬物については生体試料直接注入UFLC/MS/MS迅速分析システムの確立を行い、ヒト血漿中バルビツール酸系薬物の迅速・簡便かつ高感度なハイスループット分析が可能であった。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度: 1)平成23~24年度の研究結果を基にして、ベンゾジアゼピン系向精神薬、非ステロイド系抗炎症鎮痛薬について動物実験で得られた生体試料、または死体検案、法医解剖および救急医療現場に得られた人体試料から、本研究で確立したUFLC/LIT MS/MSシステムを用いて法医学上問題となる各薬物並びに代謝物の同定と定量を行う。また、分析結果と死体検案所見、解剖所見あるいは治療経過等をふまえ、本研究の法医学および救急医療領域での有用性を検討する。 2)本研究で得られた結果を研究成果としてまとめ、関連する学術集会で発表し、考察を加え論文として学術雑誌に投稿する。 3)抗アレルギー剤およびカルバペネム系抗菌薬についても最適なイオン化法の検討並びにMS/MS等のマススペクトルライブラリーの作成を行い、最適な分離条件を検討する。さらに、薬物と代謝物を血液および尿に添加し、カラムスイッチング法および直接注入法を応用し、最適なカラムおよび分析条件を検討し、簡便かつ高速高感度な分析法の開発を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度: 1)薬品類、UFLCカラムおよびラットなど本研究遂行に必須な消耗品の購入費として80万円を使用する。 2)第51回国際法中毒学会(TIAFT2013、平成25年9月2日~9月6日、フンシャル(マデイラ)、ポルトガル)において本研究の関連成果の一部を学会発表するため、参加費ならびに旅費として33万円を使用する。 3)研究成果を論文等で発表するための印刷費として10万円を使用する。
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