研究課題/領域番号 |
23590858
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
長谷川 巖 東海大学, 医学部, 助教 (00433912)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 現代日本人骨格 / 三次元CT |
研究概要 |
近年、法医学・病理学・解剖学の分野で、遺体をCT撮影し、体内の構造や病態、死因を究明する研究が進展している。遺体は、生体と異なり、エックス線被曝による癌発生のリスクが無いことから、生体では事実上不可能であった高線量エックス線による高解像度な全身撮影が可能である。また、骨格に関する研究において、従前の手法では、多数の遺体を解剖して骨を剖出しなければならず、解剖の手間がかかるだけでなく、遺族からの承諾を得ることが困難であり、多数の症例を集めることが困難であった。このような状況にあって、近年、急速に進歩している画像診断技術を、遺体に応用することで、いままではできなかった多数の遺体症例から、骨格に関する情報を得ることができるようになった。本研究は、現代日本人の遺体を多数扱う法医学分野において、遺体をCT撮影し、得られたCT画像をコンピューター上で三次元化して、骨格形態を画像化し、現代日本人の世代別の標準的骨格像を明らかにしようとするものである。特に、近年増加している高齢者の若かった頃の骨格・体型を推定する数式を、本研究により得られると期待している。具体的には、比較的若い成人と高齢者の遺体をCT撮影し、剖検することなく全身の骨格像をコンピューター上で三次元画像化し、大腿骨、脛骨、上腕骨、頭蓋骨といった各骨の長さ等を測定し、身長・年齢別グループにわけて比較検討する。この研究により、法医学の白骨鑑定に役立つ身長推定式が確立できるだけでなく、栄養学における高齢者の栄養アセスメント(高齢者が若かった頃の身長を現在の体型から推定する方法)、人類学における身長と骨長の相関性に関する研究が飛躍的に発展すると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
CT撮影の対象となる遺体は、現代日本人が異状死として死亡することで法医学症例となる。そのため、異状死の症例数を予測することは極めて困難である。現在までにCT撮影を実施できたのは9症例であり、次年度に撮影する症例数が増えることを期待している。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度に引き続き、遺体をCT撮影後、法医解剖を実施し、CT画像データと実測データの蓄積をし、それぞれのデータを比較検討する。また症例数を増やすために、解剖学の献体をあわせて撮影予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度に引き続き、遺体CT撮影に必要な遺体用の車載型CTをレンタルする予定である。また、学術集会に参加し、本研究に役立つ情報を収集する。
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