良質な医療と診療時間の短縮化の両立を図り、安心・安全な医療を提供するために、外来診療支援システム(WICSS)を開発するのが本研究の目的である。具体的には、タッチパネル端末を用い、画面の指示に従って患者自身が回答していくことで外来診療に必要なデ ータを網羅的・効果的に収集するシステムで、新たに開発する病歴情報収集アルゴリズムにより、患者情報にあわせて次の質問項目がダイナミックに動くのが最大の特徴である。平成25年度は、前年度までに開発したアルゴリズムの数をさらに増やすとともに、アルゴリズムの一部見直しを行って、さらに効率的に病歴情報が収集できるプログラムを開発した。 また、外来において実際の患者を対象に使用することを想定したシミュレーションを行って、文字の大きさ、表示の仕方および順番など細かい部分での作り込みを行って、より自然に使いやすいインターフェイスの開発を行った。 本システムは、医師のみならず他の医療職が使用することも想定して開発しているが、システムの開発と並行して、看護師・薬剤師向けに、本システム利用の前提となる症候診断学に対する教育プログラムを開発し、研修を実施した。具体的には、臨床推論総論に加えて、風邪、頭痛、動悸、めまい、腹痛、胸痛、下痢、腰痛などの各主訴に対するケーススタディを行い、本システムの概念を盛り込んだワークショップを開催して、本システムを活用して実際の症候診断に役立てることが出来る環境を整えるとともに、研修時に実施したアンケート調査の結果を本システムのバージョンアップに反映させて、より実用性の高いシステムを構築できた。
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