研究課題/領域番号 |
23590872
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研究機関 | 政策研究大学院大学 |
研究代表者 |
鈴木 眞理(堀田眞理) 政策研究大学院大学, 保健管理センター, 教授 (90128140)
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キーワード | グレリン / 神経性食欲不振症 |
研究概要 |
神経性食欲不振症患者の胃電図の検討では、20名の制限型(過食・嘔吐なし)と12名のむちゃ食い/排出型で検討した。自覚的消化器症状は出雲スケールでスコア化した。病型にかかわらず、半数の患者で健康人に見られる2.5~3.5c/sの通常波が主成分であった。その他、bradygastriaが増加し、電位が低下傾向にあった。報告は検索の限りでは3編で、罹病期間が短い症例では正常波型を示す、周波数解析では健常者と有意差を認めない、との一方で、bradygastriaが増加すること、bradygastriaとtachygastriaが混在するarrhythmiaを示すこと、健常者に比べて水を飲ませたときのbradygastriagaが有意に多いこと、が報告されており、自験例でそれらを確認した。また、制限型で自覚症状が多く、低年齢発症で罹病期間が長い患者で胃電図の異常が多く、グレリン治療の候補と考えられた。先行研究が少ないので、今年度は本症における胃電図の特徴の解析と、グレリン投与候補の選定ができた。 神経性食欲不振症患者におけるアセトアミノフェンを用いた胃排出能の遅延はほぼ80%の症例で見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本臨床研究を実際に実施している東京女子医科大学、高血圧・内分泌内科は、本研究開始年の平成23年に教授が代わり、専門性や診療・研究体制が大きく変化した。講師以下の医局員が全員辞職し、摂食障害外来や診療を担当し、本研究の協力者であった摂食障害グループは解散した。 このような状況下で、研究の進捗は非常に遅延した。現在、協力者を得て、遅延を取り戻すよう研究を再開している。
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今後の研究の推進方策 |
神経性食欲不振症患者の胃電図の変化を把握でき、当該研究に適切な患者の選定が可能になった。 本研究が遂行できるように東京女子医科大学の協力を要請し、グレリンの効果の検討に入りたい。結果の解析には数日を要するが、1症例あたりのグレリン投与試験は1日で終了するので、今後、症例数の累積を迅速に行いたい。 国際学会への発表はまだできず、国際学会渡航費をグレリンのペプチド購入費に充てたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度に使用しなかった研究費は、今後、グレリンのペプチド試薬購入代金、対象の健康人への謝礼,データ解析のための補助員の賃金に充てる予定である。
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