防已黄耆湯(BOT)の投与はコール酸添加食によって誘導される肝傷害を軽減した。BOTの投与は肝臓におけるコレステロールエステルの増加には影響しなかったが、減少したトリグリセリド(TG)を有意に増加させた。またこのとき、一価不飽和脂肪酸(MUFA)含量の増加とステアリン酸CoA不飽和化酵素(SCD1)の発現量の上昇が伴っていた。以上の結果から、BOTによるコール酸誘発肝傷害の軽減には、肝臓でのSCD1によるMUFA合成とそれに起因するTG合成の増加が関わっていると示唆された。本研究は、リピドミクス解析が漢方薬の新しい脂質代謝制御活性を検出するのに有効な手法であることを示した初めての事例である。
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