研究課題/領域番号 |
23590880
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
安田 尚史 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 特命講師 (50403233)
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研究分担者 |
横野 浩一 神戸大学, その他部局等, 理事 (50144580)
原 賢太 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (70397826)
明嵜 太一 神戸大学, 医学部附属病院, 特定助教 (80467662)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 1型糖尿病 / 免疫寛容 / 樹状細胞 / 病原体感知センサー |
研究概要 |
我々は、プレプロインスリンのシグナルペプチドがNODマウスの1型糖尿病(T1D)発症抑制と治療に有効で、また、NODマウスの骨髄由来制御性樹状細胞(DC)を樹立し、これがNODマウス糖尿病を完全に抑制することを見出した。今回、これらの免疫寛容の誘導に成功したモデルやT1Dの免疫寛容モデルを用いて、DCの病原体感知センサーである病原体感知分子(TLRなど)の観点から免疫寛容機構の解明を試み、将来のワクチン療法などのT1D治療の開発を目指す。T1Dの免疫寛容モデル:(1)NOD-lpr/lprマウス(Fas分子自然欠損) (2)Ins1KO-NODマウス (3)DC投与NODマウス (4)preproinsulin L7-24投与NODマウスT1Dの疾患モデル:(1)NODマウス(自然発症モデル) (2)cyclophosphamide(CY)誘導糖尿病モデル(薬剤誘発モデル) (3)NY8.3NODマウス(膵β細胞抗原(IGRP)特異的CD8T細胞クローンのT細胞受容体Tgマウス, 発症促進モデル)(成果)NODマウスへのCY投与にてT1D発症を誘導するCY誘導糖尿病モデルに対して、1)NOD-lpr/lprマウス(免疫寛容モデル)へのCY投与にてもT1D発症は誘導されなかった。2)NOD-lpr/lprマウス由来DCのNODマウスへの投与にてT1D発症は認めず免疫寛容を誘導できた。3)このマウスへのCY投与にてもT1D発症は誘導されなかった。4)Ins1KO-NODマウス(免疫寛容モデル)へのCY投与にてT1D発症は有意に抑制された。現在、preproinsulin L7-24投与NODマウス(免疫寛容モデル)へのCY投与も施行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1型糖尿病発症を認めない免疫寛容マウスやそのモデルが数種類存在しており、系統維持のためのマウスを確保しつつ実験に使用している。その中で、マウスの飼育数の制限により実験に制約ができるため、実験の進行がやや遅れる結果となっている。
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今後の研究の推進方策 |
現在、preproinsulin L7-24投与NODマウス(免疫寛容モデル)へのCY投与を行い免疫寛容が維持できるか検討中である。これらの結果、免疫寛容状態が維持できたモデルに対して、今後、DCの病原体感知センサーのagonist投与にてDC活性化を行い、免疫寛容を破綻できるかどうかを検討していき、病原体感知分子(TLR,RLR,NLR,CLR)の観点から免疫寛容機構の解明を試みる。DCの病原体認識分子を介したDC活性化因子:細胞外病原体を認識する病原体センサーTLR(Toll-like receptor),CLRs(C-type lectin receptor)や細胞内病原体を認識する病原体センサーRLR(RIG-I-like receptor),NLR(Nod-like receptor)のagonistなどを用いて検討する予定。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は実験の物品費の使用が少なく、次年度使用額が生じる結果となったが、次年度は、マウスの飼育費、実験のための物品費、研究発表のための旅費、学会費、及び論文作成や投稿費に使用する請求研究費と合わせて使用する予定である。
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