研究課題/領域番号 |
23590883
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
木村 善行 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20294796)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 癌 / 植物成分 / 薬理学 / 生理活性 / 紫外線 |
研究概要 |
【研究目的】紫外線(UV)の長期暴露は、皮膚老化や癌発生に関係していることは周知の事実である。皮膚悪性リンパ腫の治療にはUVAと光化学療法剤(Psoralen)、すなわちPUVA療法が実施されているが、UVAとの併用薬物が少なく、固形腫瘍に対する影響も明らかでない。本研究では、皮膚疾患に使用されている伝統薬物からUVA+光化学療法薬物の探索研究を行い、その抗腫瘍効果の作用機構を明らかにする。また、長期UVB照射に発癌リスクを防止する化合物の探索研究も検討する。【研究実績の概要】1.平成23年度は、セリ科Aneglica属植物から単離した化合物を以下の項目で評価した。(1)Melanoma B16F10細胞のUVA照射下による単離した23種類の化合物の細胞増殖能に対する検討(In Vitro)、(2)B16F10細胞背部移植メラニン含有へアレスマウスでのUVA照射下での腫瘍増殖に及ぼす単離した化合物の影響(In Vivo)を検討した。その結果、In Vitro実験:23種類の化合物の内、12種類のFurocoumarin類にUVA照射下での細胞増殖を強く阻止した。In Vivo実験:In Vitroで選別した化合物の内、6種類のFurocoumarinに0.5mg/kgの低用量での21日間の腹腔内投与によって、強い抗腫瘍効果を有することを見出した。さらに、他の化合物を検討中である。2.長期UVB照射による発癌を防止する候補化合物の探索に先立ち、短期UVB照射による急性皮膚炎症に対する黄岑(Scutellaria baicalensis根)から単離したBaicalein, Wogonin以外の4種類のFlavonoidを検討した。その結果、4種類のFlavonoid は皮膚炎症を阻止し、その作用はMMP-2およびVEGF発現阻止作用を介していることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.研究計画は3年の予定であるが、初年度は、植物成分の単離等に時間を費やし、評価の実験の進捗状況が少し遅れている。2.最初のScreening 方法であるMelanoma細胞へのUVA照射下での単離した化合物の細胞増殖に対する評価も順調に推移し始めている。3.2の項目に基づいて、Melanoma腫瘍移植へアレスマウスを用い、UVA照射下での作用の強い化合物の腫瘍増殖能に対する検討も順次推移している。4.In Vivoでの抗腫瘍効果の判定に際して、化合物のみの抗腫瘍効果の判定の有無の検討も順次進めている状況である。5.ヘアレスマウスへのUVA照射下による化合物の光毒性(浮腫、発赤等)の用量を検討し、より良い化合物の選別を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
1.UVA照射下における抗腫瘍化合物の評価:平成24年度の研究計画は、平成23年度と同様の実験と共に、Melanoma移植マウスでのUVA照射下における抗腫瘍効果の認められた化合物の作用機構の解明の一端として、腫瘍組織および皮膚組織の免疫染色によって、血管新生およびリンパ新生に対する作用を検討する。2.長期低用量UVB照射下における発癌抑制化合物の評価:平成23年度で実施した短期高用量UVB照射による抗皮膚炎症の認めた化合物を、長期UVB照射による発癌に対する影響を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
1.平成23年度の研究の進捗は若干の遅れがあったが、概ね予定通り進捗している。若干の遅れのために、次年度に少し予算が繰り越した。2.平成24年度の研究費の使用は、平成23年度の繰り越し金額を含めて、申請通り、使用する計画である。
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