研究課題/領域番号 |
23590883
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
木村 善行 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20294796)
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キーワード | 癌 / 植物成分 / 薬理学 / 生理活性 / 紫外線 |
研究概要 |
【研究目的】 紫外線(UV)の長期暴露は、皮膚老化や癌発生に関係していることは周知の事実である。皮膚悪性リンパ腫の治療にはUVAと光化学療法剤(Psoralen)、即ち、PUVA療法が実施されているが、UVAとの併用薬物が少なく、固形腫瘍に対する影響も明らかにされていない。本研究では、伝統薬物からUVAによる光増強化合物(光化学療法剤)の探索、その抗腫瘍効果および作用機構を明らかにする。 【研究概要】 1. 平成23年度の研究において、23種類の天然薬物から、UVA照射下での癌細胞の増殖抑制(In Vitro) および癌移植マウスにおけるUVA照射下での抗腫瘍効果(In Vivo)を検討した結果、候補化合物として、12種類の化合物を見出した。 平成24年度は、12種類の化合物の作用機構を、UVA照射下での細胞周期の検討を行った。その結果、これら化合物はUVA照射下G2/M期を停止することがFlow Cytometry解析によって明らかにした。さらに、そのG2/M期停止の作用機構の制御機構を分子レベルで検討中である。 2. 長期の紫外線暴露は、血管新生と共にリンパ管新生が関与し、発癌、腫瘍増大に関与していることが報告されている。先に、短期UVB照射での皮膚炎症を顕著に抑制したFlavonoid化合物 Wogoninの抗腫瘍・抗転移効果を検討した結果、Vascular Endothelial Growth facror (VEGF)受容体3のリン酸化阻害によるリンパ管新生の抑制を介した抗腫瘍・抗転移効果であることを明らかにした。さらに、他のFlavonoid関連化合物を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1. 研究期間は平成23年度~平成25年度で、平成23年度において、細胞増殖抑制成分の探索し、12種類の化合物を候補化合物を特定した。平成24年度はUVA照射下での抗腫瘍効果を検討し、8種類の化合物を選択し、順調に推移している。 2. 平成24年度は、候補化合物の作用機構を細胞周期を中心にして検討し、UVA照射下、12種類の化合物にG2/M期を停止することによる細胞増殖の阻止する機構を見出した。 3.さらに、これらの化合物のG2/M期の制御機構を分子レベルで検討中で、平成25年度においても引き続き検討予定である。 4.腫瘍移植マウスでの検討もさらに詳細に検討している状況である。
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今後の研究の推進方策 |
1.UVA照射下における抗腫瘍化合物の評価:平成25年度の研究計画は前年度と同様の実験と共に、UVA照射下での候補化合物の作用機構を分子レベルで明らかにする。また、化合物の構造相関関係を明らかにし、より良い化合物の創生に繋げる予定である。 2.前年度と同様に、長期低用量UVB照射下おける皮膚発癌防止する化合物の検索をさらに進める予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
1.平成24年度は、研究の進捗に若干の遅れがあり、研究費の次年度への繰り越しがあった。 2.平成25年度は最終年度である、平成24年度の繰り越し分を含めて、申請通り使用する計画である。
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