【研究目的】 紫外線(UV)の長期暴露は、皮膚老化やがん発生に関係していることは周知の事実である。皮膚悪性リンパ腫の治療にはUVAと光化学療法剤(Psolaren)、PUVA療法が実施されているが、UVAとの併用薬物が少なく、固形腫瘍に対する影響も明らかにされていない。本研究では、伝統薬物からUVAによる光増強化合物の抗腫瘍効果とその作用機構を明らかにする。 【研究概要】 1. 平成23年および24年度の研究において、伝統薬物から単離した23種類のクマリン類の内、12種類のフロクマリン類にUVAによる癌細胞増殖抑制作用(In Vitro)およびB16F10 Melanoma移植マウスにおけるUVA照射との組み合わせによる抗腫瘍作用(In Vivo)を見出した。その作用機構がFlow Cytomertry解析によってG2/M期休止作用によることを明らかにした。 平成25年度(最終年度)は、上記の作用機構を分子レベルで検討した結果、Chk1リン酸化の増加およびcdc2リン酸化の減少による細胞周期のG2/M期休止によることを明確にした。化学構造的には、フロクマリン骨格の5位もしくは8位に置換基を有する化合物に強い活性が認められ、5位および8位nの両方に置換基を有する化合物は活性が弱かった。
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