研究課題/領域番号 |
23590887
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
山田 浩 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (40265252)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | インフルエンザ / 緑茶 / うがい / 学校保健 / 高校生 |
研究概要 |
インフルエンザは毎年、流行を繰り返す重症の急性上気道感染症であり、集団生活を行う学校での予防対策はことさら重要である。本研究では、基礎研究における緑茶成分のインフルエンザ感染抑制効果に着目し、緑茶うがいによるインフルエンザ予防並びに症状軽減効果を、インフルエンザの発症リスクが高い年代であり且つ予防対策が社会的に重要である高校生を対象として検討した。対象は、試験開始前に十分なインフォームドコンセントを行い、本人及び保護者から文書同意を得た高校生ボランティア757名(6高校から募集)であり、緑茶うがい群または水うがい群にランダム割付し、インフルエンザ流行シーズンに1日3回(登校時、昼休み、下校時)うがいを90日間行い追跡調査した。主要エンドポイントは試験期間中のインフルエンザ罹患の有無とし、副次エンドポイントは試験開始からインフルエンザ発症までの期間、症状の重症度、合併症あるいは入院の有無、欠席・早退・遅刻期間、うがいに伴う有害事象あるいは不具合の有無とし、両群間で比較した。なお、試験開始前に静岡県立大学倫理審査委員会の承認を得、臨床試験事前登録を行って実施した。各高校とも、2011年12月1日より2012年2月28日までの90日間、一斉に、うがいを行った。途中、同意撤回者7名を除き、750名がうがいを継続した。調査票は日記形式で2週間毎に回収し、記載漏れや不整合個所を再調査した。試験期間中、うがいに伴う有害事象や不具合は特に生じなかった。報告書作成の現在、参加ボランティアの調査票の回収がほぼ終了した段階であり、今後、コンピュータのデータシートへのデータ入力・取り込み、データのクリーンニングを行った後、集計・統計解析に入る予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
未成年者である高校生を対象とした臨床試験の遂行には成人の場合とは異なる困難さを伴うが、その企画・立案における各高校との調整から始まり、高校生本人だけでなく保護者からの文書同意を得て試験を開始し、試験中のうがいによる有害事象や不具合も発生せず、安全に遂行し得た点は満足のいく結果だったといえる。うがい期間も予定通り90日間、インフルエンザの最も流行するシーズンである12月から2月に各高校で一斉に実施できた。進行の遅れとしては、調査票の回収が、参加者の記入漏れや不整合箇所の再調査に時間がかかり、やや遅れが出た程度であった。参加した高校生ボランティア数も757名と目標参加者数に達しており、脱落例が予想よりも若干多く発生したとしても、パワー不足にならない例数となったと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度の臨床試験で得られた調査票を全て回収しデータの再確認を行い、その信頼性を確認した上で、コンピュータのデータシートに入力・取り込みを行い、データのクリーニング後に、統計解析処理を実施する。主要解析以外にも、介入に影響を与えた因子によるサブグループ解析を行い、平成25年度に向けて更に精度の高い臨床試験を計画する。得られた成果を学会発表し、論文として公表する。
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次年度の研究費の使用計画 |
データの統計解析のための統計ソフト代、ファイル保存用ハードディスク代、データ収集のための旅費・通信・運送費、データシートに入力・取り込みを行う作業の協力者への謝金、学会・論文発表のための資料代、論文投稿料、掲載料等に使用する。
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