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2012 年度 実施状況報告書

漢方薬「排膿散及湯」のMRSA重症感染症に対する有効性の解析

研究課題

研究課題/領域番号 23590889
研究機関名古屋市立大学

研究代表者

南 正明  名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (70418739)

研究分担者 長谷川 忠男  名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10314014)
キーワード漢方薬 / MRSA
研究概要

抗菌剤に対して多剤耐性を示し、様々な菌体外毒素を分泌し、皮膚感染症から毒素性ショック症候群まで様々な重症感染症を引き起こす黄色ブドウ球菌(MRSA)が現在院内感染上特に問題であり、新規治療薬の開発が望まれている。排膿散及湯は江戸時代の漢方医、吉益東洞の考案した処方であり、患部が発赤、腫脹して疼痛をともなった化膿症が適応である。この排膿散及湯の適応疾患が、MRSAによる化膿性感染症疾患に一致するため、排膿散及湯がMRSA感染症治療薬となることが予想され、我々は2011年度に排膿散及湯のMRSA重症感染症に対する効果について、排膿散及湯の菌体外毒素分泌の抑制効果、排膿散及湯投与マウスのMRSA感染の生存率や局所病変の改善を明らかにした。2012年度は、MRSAに対する排膿散及湯投与マウス由来の腹腔内マクロファージの貪食能について検討を行った。排膿散及湯のエキス粉末をMilliQ水で溶解して、排膿散及湯を作成した。排膿散及湯投与と非投与のマウスを麻酔してから、冷却リン酸バッファー(PBS)を腹腔内に注入して、3時間後に回収したPBS液を遠心分離後、腹腔内マクロファージを分離した。腹腔内マクロファージとMRSA株に無処置マウス血清を加えて、共培養した。そして培養後30分ごとに、120分まで混合したサンプルから一部分をとり、血液寒天培地にまいて、培養した。培養後1日後の菌のコロニー数を計測比較した。排膿散及湯投与マウスでは、30分後から有意に、無投与マウスと比較して、血液寒天培地上のコロニー数が減少したことから、マクロファージ貪食能の増強が認められた。排膿散及湯は抗菌剤とは別の観点からの、マクロファージ貪食能を増強するMRSA感染症の治療薬の一つとなりうることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

計画通りに概ね研究は進行している。

今後の研究の推進方策

今後も計画通りに、進行させる予定である。

次年度の研究費の使用計画

PVLタンパク質の排膿散及湯投与マウス由来の免疫担当細胞に対するアポトーシス効果の検討を行う。大腸菌でGST融合PVLタンパク質を作成する。PCRで増幅したPVL遺伝子産物をタンパク質ベクターのpET21に組み込む。その組み換えタンパク質発現ベクターを大腸菌BL21に組み込んで、PVLタンパク質を発現させる。発現させたタンパク質を精製して、排膿散及湯投与と非投与マウスからそれぞれ分離した免疫担当細胞に加えて、共培養する。その後TUNNEL法のキットで、免疫担当細胞のアポトーシスの評価を行い、排膿散及等とアポトーシスとの関係を比較検討する予定である。

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公開日: 2014-07-24  

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