抗菌剤治療の困難なメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)重症感染症に対する漢方薬・排膿散及湯の治療効果を検討した。排膿散及湯を添加したLB液体培地でMRSAを培養すると、無添加LB液体培地と比較して、二次元電気泳動での解析では、菌体外毒素の量が減少していた。MRSA皮下感染マウスに排膿散及湯を投与した場合、無投与マウスと比較して、有意な生存率の上昇、皮膚潰瘍径の減少を認めた。排膿散及湯投与マウスから採取した腹腔内マクロファージの、MRSAに対する貪食能は、無投与マウスと比較して、有意に上昇していた。排膿散及湯はMRSA重症感染症の新規治療薬として強く示唆された。
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