研究課題/領域番号 |
23590891
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
石川 剛 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90372846)
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研究分担者 |
古倉 聡 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80347442)
足立 聡子 京都府立医科大学, 医学部, 研究員 (90546615)
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キーワード | 細胞移入療法 / ナイーブTリンパ球 / がん免疫療法 / CTLA-4 |
研究概要 |
進行がん患者では、がん免疫逃避機構が成立しており、がん抗原特異的免疫誘導は起こりにくいと考えられている。本研究では、担がん生体にみられる免疫抑制環境を克服し、ナイーブTリンパ球療法の効果を増強する基盤技術を開発することを目的にしている。 がん免疫逃避機構の成立には、T細胞の不活性化経路にあるCTLA-4, PD-1/PD-L1が大きく関わっており、これら分子をターゲットとしたがん治療薬の開発が進んでいる。H24年度では、基礎的検討において、抗CTLA-4抗体を用いて免疫逃避機構の解除を図り、これにナイーブTリンパ球の細胞療法を行い、抗腫瘍効果増強が得られるかについてマウス担がんモデルを用いて検討した。実験では、マウス大腸癌細胞株colon26をBALB/cマウスの皮下に投与し、皮下移植モデルを作成し、抗CTLA-4抗体薬、ナイーブTリンパ球およびそれら併用治療の抗腫瘍効果を比較検討した。抗CTLA-4抗体は100ug/bodyをday5より週3回, 計5回腹腔内投与した。ナイーブTリンパ球は、担がんマウス脾臓由来細胞をRetroNectin,CD3抗体,IL-2,IL-7存在下で拡大培養を行い、CD62L陽性細胞をナイーブTリンパ球として、day6, 13の計2回投与した。Day17での腫瘍容積は、抗CTLA-4抗体とナイーブTリンパ球併用群はそれぞれの単独投与群に比し腫瘍容量は有意に低値であり、併用治療による抗腫瘍効果の増強が確認された。臨床的検討では、PHA誘導全血IFNγ産生能検査が進行膵癌患者におけるTリンパ球細胞移入療法の予後予測に有用であることを論文報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
抗CTLA-4抗体とナイーブTリンパ球療法の併用療法の臨床応用の可能性を確認することができた。さらに、臨床においてPHA誘導全血IFNγ産生能検査が細胞移入療法の免疫モニタリング検査として有用であることを論文報告した。
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今後の研究の推進方策 |
抗CTLA-4抗体とナイーブTリンパ球の併用療法を行ったマウス腫瘍移植モデルで、腫瘍内および所属リンパ節のリンパ球のphenotype, 機能解析を行い、抗腫瘍効果増強メカニズムの解析を行う予定である。さらに、抗PD-1抗体とナイーブTリンパ球の併用効果の検討も行う予定である。NK細胞とナイーブTリンパ球療法の併用療法の可能性についても検討を行いたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
主に、実験試薬(免疫検査薬、サイトカイン、抗体、マイクロビーズ、カラム、培養液等)や実験動物の購入、関連図書の購入、研究・調査費用、論文投稿関連費用に使用する予定
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