研究課題/領域番号 |
23590897
|
研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
中西 一浩 日本医科大学, 医学部, 准教授 (30217765)
|
研究分担者 |
河原 裕泰 日本医科大学, 医学部, 助教 (40350053)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
キーワード | くも膜下モルヒネ鎮痛法 |
研究概要 |
本研究の目的は、難治性がん性疼痛患者に対するクモ膜下腔モルヒネ投与による鎮痛法のQOLおよび本邦の医療保険制度上における費用対効果を明らかにし、WHO3段階ラダーを超えた第4段階目の鎮痛方法の一つになり得るかを検証することにある。当院のがん性疼痛患者を対象に、包括的がん疼痛治療として、塩酸モルヒネ経口投与の1日量が240mg以上、静脈内投与が120mg以上、オキシコンチン1日量が160mg以上、フェントステープ8mg以上、フェンタニル静脈内投与が2.4mg以上、のいずれかに該当し、Visual Analogue Scale(VAS)が5以上の患者を本研究の登録対象とする。疼痛緩和および毒性(副作用)に与える影響を、疼痛評価の尺度(VAS scale、NRS)と毒性指標を用いて比較検討する。QOLに与える影響を、包括的尺度である機能主義的QOL調査票(SF-8)を用いて比較検討する。在宅医療へ移行可能までの期間、生存期間を比較検討する。がん性疼痛の治療に関わる直接医療費、一日あたりの直接医療費(直接医療費/生存日数)、疼痛緩和とQOLの改善における費用対効果比を比較検討する。現在までに、6名の患者が本研究に登録し、3名の患者が上記くも膜下塩酸モルヒネ鎮痛法を受けた。3名の患者は、パンコースト腫瘍の腕神経叢浸潤、肺がん脊椎転移、甲状腺がんの腕神経叢浸潤によりそれぞれ大量塩酸モルヒネ持続静注を受けたにもかかわらず、鎮痛困難、副作用出現により疼痛コントロールに難渋した症例である。3症例とも、くも膜下塩酸モルヒネ鎮痛法開始後より速やかな除痛が得られ、さらに眠気、便秘等の副作用も軽減した。くも膜下塩酸モルヒネ鎮痛法の鎮痛効果、副作用軽減効果は劇的であり、難治性がん性疼痛に対する治療法として極めて有効であると考えられる。本研究の意義、重要性をあらためて確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
震災の影響による研究開始の遅れ、さらにスミスメディカル社製硬膜外ポートの一部製品トラブルにより平成23年11月より同製品の納入が不可能になった為、患者登録数が予定より遅れている。現在までの登録患者数は6名、内くも膜下鎮痛法郡は3名である。スミスメディカル社からの報告によると、平成24年5月には同製品の納入が再会される見込みである。
|
今後の研究の推進方策 |
研究推進に必要なミスメディカル社製硬膜外ポートが納入可能になり次第、研究を再開する。24年度中の研究登録患者数は、従来の予定通り約20名(くも膜下鎮痛法郡:10名)を目標とする。平成23年度の研究登録者予定数に満たなかった分は平成25年度に遂行する予定である。23年度から25年度にかけて総計50名を目標にしている。
|
次年度の研究費の使用計画 |
24年度の研究遂行は予定通り行う。23年度の研究登録者の予定数に満たなかった分は25年度に遂行するため、23年度分の未使用研究費は25年度に使用する予定である。
|