研究課題/領域番号 |
23590900
|
研究機関 | 明治国際医療大学 |
研究代表者 |
川喜田 健司 明治国際医療大学, 医学教育研究センター, 教授 (60076049)
|
研究分担者 |
岡田 薫 明治国際医療大学, 医学教育研究センター, 准教授 (60268175)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | シャム鍼鍼臨床試験 / 臨床試験 / 微小神経電図 |
研究概要 |
本研究は、これまで臨床試験で使われてきた各種のシャム鍼の生理的活性の有無をヒトの微小神経電図によって末梢受容器の反応性から解析することが目的である。 インフォームドコンセントの得られた健康成人を被験者として、微小神経電図法によって活動電位を導出した。被験者は仰臥位にて、金属微小電極を手技的に刺入し、電気的活動をモニターし、受容野を探して電気刺激で導速度を測定した。その後、ブラシ、圧迫、ピンチ等の機械刺激、熱刺激に対する反応性に応じたタイプ分けを行なった。その後、円皮鍼(パイオネックス、セイリン社製)、皮内鍼、通常の鍼灸鍼(豪鍼)、それらのシャム鍼として先端を丸めた鍼、鍼体を除いたシャム円皮鍼による機械刺激をランダムに受容野に与え、その反応を記録した。その結果、C線維ユニット(n=4)とA be-taユニット(n=8)が導出できた。その結果、すべてのCユニットは皮膚に受容野を持つ熱と機械刺激に反応するCMHユニットであり、ポリモーダル受容器と考えられた。それらはいずれも本物の各種の鍼刺激のほか、非刺入型のシャム鍼刺激、爪楊枝の機械刺激にも反応した。唯一の例外として、皮膚刺激用の貼付型鍼の先端部を除去したシャム円皮鍼の反応性が著しく低いことが明らかになった。Aβユニットは本物の鍼のほかシャム円皮鍼を含むいずれのシャム鍼にも反応した。 これらの結果は、従来のシャム鍼の非生理活性を否定するものであり、これまでの研究結果の解釈に再考を促すとともに、シャム円皮鍼の今後の臨床試験における活用の妥当性を示唆するものである。 本研究の成果は、スペインで行われた第5回国際医学鍼灸学会で発表し、優秀口頭発表賞を受賞した。今後、ヒトのデータを増やすと共に、ラットによる解析を進めていく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで、C線維ユニットを4例導出し、記録の解析を行うことが出来た。その数は少ないように思われるが、皮膚のC線維受容器の微小神経電図の記録は、Aβ線維の記録に比べて格段に困難を伴うものである。最終的にC線維が記録できなかった実験も数多くあり、その中での4例の記録には稀少価値がある。本研究の目的は、シャム鍼の生理学的活性の有無の検討であり、今回のC線維ユニットの活動の解析結果はいずれも同じ傾向を示したことから、順調に研究は進展していると判断している。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の計画としては、微小神経電図の実験をさらに継続するとともに、新たにネズミを用いた研究に取り組む予定である。すでにパイロット研究によってその方法論は確立されており、今後、本物の円皮鍼とシャム円皮鍼の反応性の違いに焦点をあてて、痛みと鎮痛系にかかわる中枢神経系における各種の核からのニューロンの記録を行い、解析を進める予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費に関しては、年度末の出張の経費の精算が間に合わなかったことが原因であり、旅費の支出に使う予定である。
|