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2013 年度 実施状況報告書

インフルエンザにおける麻黄湯の自然免疫賦活作用に関する検討

研究課題

研究課題/領域番号 23590906
研究機関福岡大学

研究代表者

鍋島 茂樹  福岡大学, 医学部, 准教授 (50304796)

キーワードインフルエンザ / 漢方薬 / オートファジー
研究概要

麻黄湯の抗インフルエンザ作用の機序に関して本年度も継続して研究している。A549細胞にインフルエンザウイルス(PR8)を感染させると、24時間後、麻黄湯存在下において培養上清中のウイルス量は濃度依存性に減少し、その効果はニューミニダーゼ阻害薬の効果を上回っていた。同様に、細胞内ウイルスRNA量と細胞内ウイルス蛋白をそれぞれPRCと蛍光顕微鏡およびフローサイトメトリーで測定すると、やはり麻黄湯存在下でウイルスRNAとウイルス蛋白は著明に抑制されていた。さらに、麻黄湯の添加時期を検討すると麻黄湯の前処置と培養初期(6時間以内)に添加した場合に抗ウイルス効果が認められた。また、麻黄湯は感染細胞の炎症性サイトカイン産生を抑制していることがわかった。
細胞内の恒常性維持やウイルス感染防御に必須のAutophagyに注目した。インフルエンザ感染においてはAutophagosomeとLysosomeの癒合が阻害されることが報告されている。麻黄湯を添加すると、蛍光顕微鏡においてAutophagosomeとLysosomeの融合阻害が解除され、Autophagyの機能が正常に回復していることがわかった。上記の結果はウエスタン・ブロッティングにおいても確かめられた。次にAutophagyの機能強化が抗ウイルス効果と関連しているかどうかについて実験を行った。iRNAを使用し、細胞内のAutophagyを抑制した細胞株において麻黄湯の抗ウイルス効果を検討したところ、やはり抗ウイルス効果が認められた。以上より、麻黄湯による抗インフルエンザ効果はAutophagyの機能強化だけてはなく、他の要因があることが示唆された。現在、麻黄湯によるAutophagy機能強化の意義と、その他のメカニズムによる抗ウイルス効果について検討中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

麻黄湯の抗インフルエンザウイルス効果が確かに存在することが様々な実験で確かめられた。また、麻黄湯がインフルエンザ感染初期に効果があることもわかった。また、Autophagyの機能強化も確かめられたが、この意義に関しては今のところ不明である。麻黄湯は当初の予想と異なり、サイトカインやToll-like receptorに関しては、刺激していないことがわかった。

今後の研究の推進方策

1)麻黄湯がインフルエンザウイルスの増殖を抑えているのか、あるいは細胞への侵入をブロックしているのかを検討する。感染早期(0-6時間)の麻黄湯の影響(インフルエンザウイルスのRNA量の抑制)に注目する。
2)麻黄湯によるAutophagy機能強化の意義に関して検討する。特にインフルエンザは感染細胞にApoptosisを誘導するが、Autophagyを介してこのApoptosisを抑制している可能性が考えられる。
3)麻黄湯が炎症性サイトカインを抑制するメカニズムに関して検討する。おそらくAutophagyによるインフラマゾームの抑制が考えられる。

次年度の研究費の使用計画

麻黄湯の抗インフルエンザ効果について研究を進めているが、インフルエンザ感染において、麻黄湯によるAutopahgy機能強化という現象があることがわかってきた。これが抗インフルエンザ効果や、抗サイトカイン効果と関係があると考えられるが、それについて実験がすすんでいない。また、実験器具の不具合や研究細胞やウイルスの死滅等により実験が遅れていたことが原因である。
Autophagyの機能強化に関するRT-PCR、ウエスタンブロット、蛍光顕微鏡、電子顕微鏡、personal computerを使用した実験が必須であり、次年度使用予定の予算は、これらの器具や試薬、また学会発表などに必要であると考える。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] インフルエンザにおける麻黄湯の臨床効果とその作用機序2013

    • 著者名/発表者名
      鍋島茂樹
    • 学会等名
      日本病院総合診療医学会
    • 発表場所
      広島市
    • 年月日
      20130830-20130831
  • [学会発表] 麻黄湯の抗インフルエンザ作用とオートファジー2013

    • 著者名/発表者名
      鍋島茂樹、増井信太、長澤佳郎、鰺坂和彦、武岡宏明
    • 学会等名
      日本東洋医学会
    • 発表場所
      鹿児島市
    • 年月日
      20130531-20130602

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公開日: 2015-05-28  

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