麻黄湯によるオートファジー機能強化を介したウイルス感染防御に関して研究を進めてきた。前年度までに、麻黄湯投与により、確かにインフルエンザウイルスの増殖が著明に抑制されることがわかったが、このこととオートファジー機能強化の関連が不明であった。最終年度である平成26年度には、麻黄湯がウイルスの増殖環のどのフェーズでウイルスを抑制しているかをしらべた。麻黄湯は、ウイルス感染から2時間以内、その中でも30分以内のフェーズで強力にウイルスの増殖を抑えていることが、PCRにて確かめられた。麻黄湯は、ウイルスが宿主細胞に吸着するとき、あるいはエンドゾームで脱核する際に、ウイルスの侵入を阻害する可能性が高いことが示唆された。オートファジー機能強化は、直接ウイルス増殖を抑制しているのではなく、アポトーシス抑制の方向に働いている可能性が示唆された。
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