研究課題
サルコイドーシス(サ症)は全身性疾患であり、一般に心病変の合併がなければ比較的予後良好である。しかし、心サ症は診断が困難でありかつ治療が遅れれば予後不良となる。早期に診断し、早期にステロイドを使用すれば予後は改善されるため早期診断がきわめて重要である。サ症の原因はアクネ菌感染による過敏性免疫反応が示唆されているが不明の点も多く、動物モデルの確立は病因解明や早期の診断法開発に有用と考えられる。本研究においては心サ症のマウスモデルを確立し、このマウスを用いて画期的な早期診断法を開発することであった。アポE欠損マウスにコール酸含有高脂肪食を16週間負荷すると、肺にマクロファージの集簇を斑状に認める。この病変はサ症の肉芽腫に類似している。心筋には冠動脈内のマクロファージの集簇、血管外へのマクロファージの遊走、血管周囲の線維化を認めた。しかし、リンパ球の集積は認められず、マクロファージを主体とした心筋炎の動物モデルの可能性が示唆された。さらにアクネ菌(死菌)を経鼻的に投与した場合、炎症病変の変化は認められなかったため、このモデルでは、コール酸含有高脂肪食負荷の方が炎症病変形成の強い要因である可能性が考えられた。ヒトにおける心サ症は早期にはマクロファージの集簇とその周囲のリンパ球の浸潤を認める。その後、マクロファージの一部が上皮細胞様に変化し(類上皮細胞)肉芽腫を形成する。従って病変の中心はマクロファージであり、活性化したマクロファージでは糖代謝が活発である。一方、マクロファージをはじめとする炎症性細胞の浸潤により心筋細胞は障害を受け、障害心筋は脂肪酸よりも糖を利用する。正常心筋は18時間以上の絶食により糖よりも脂肪酸を利用するため、18時間以上の絶食を前処置としたF-18 FDG PET検査がサルコイドーシスによる炎症病変をとらえる事が示された。
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