研究課題
摂食障害の病態に自己抗体が役割を果たしていることが示唆されている。本研究ではプロテインアクティブアレイを使用した網羅的自己抗体スクリーニング法によって摂食障害および肥満患者に特異的な自己抗体を探索することを目的とする。自己抗体より抗原蛋白が同定されれば、その機能解析により、摂食障害の病態メカニズム解明に役立つ。また、特異的な自己抗体の発見は早期の診断、治療法の開発に役立つことが期待される。平成23年度は、約2万種のヒト蛋白質を搭載したプレスクリーニング用のアレイ(C-PAA)を作成した。3人分の血清サンプルのプール血清10グループ(神経性食欲不振症―制限型2グループ、神経性食欲不振症―むちゃ喰い/排出型2グループ、神経性過食症2グループ、肥満2グループ、健常者2グループ)でプレスクリーニングを実施した結果、各グループ15~20のポジティブスポットが検出された。この結果をもとに、ポジティブスポット上の各10抗原を展開した150~200の抗原に摂食障害と関連する可能性のある候補抗原を搭載した抗原同定用のアレイ(E-PAA)を作成した。平成24年度は平成23年度に作成したE-PAAを用いて、各グループのプール血清中の自己抗体に反応する抗原タンパクを同定した。次に自己抗体と強く反応する180種類の抗原タンパク質を選択し、これらが搭載されたF-PAA(Focused-Protein Active Array)を作製した。そして、このF-PAAを用いて、スクリーニングに用いたサンプルとは独立の摂食障害および肥満患者の血清サンプルについて自己抗体の探索を行った。その結果、神経性食欲不振症―制限型患者血清で2種類のタンパクに対する自己抗体が検出された。今回得られた結果を踏まえ、平成25年度はさらに検体数を増やしてスクリーニングを進め、詳細な解析を行っていく予定である。
2: おおむね順調に進展している
当初研究実施計画通りのスケジュールで自己抗体スクリーニングが実施されている。
当初研究計画通りのスケジュールで進める。
F-PAA(Focused-Protein Active Array)を作製とアッセイ試薬等の物品費として使用する。
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