研究課題/領域番号 |
23590915
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
豊永 高史 神戸大学, 医学部附属病院, 准教授 (40464268)
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キーワード | 食道がん / 質量分析 / メタボローム解析 |
研究概要 |
病態における細胞においては、疾患に関連した様々なタンパク質の発現、ならびに、その活性の変動により、疾患に特徴的な低分子量代謝物変動パターンが形成されると考えている。近年、低分子量代謝物解析、すなわち、メタボロミクスの技術が飛躍的に進歩し、医学領域への応用が期待されるようになってきた。そこで、本研究課題では、食道がんにおいて特徴的に変動する代謝物を網羅的に分析し、その変動パターン解析を行うことで、代謝物バイオマーカー候補を見出し、将来的な食道がん早期診断法の開発を目的とした。平成24年度は、ヒト血清中代謝物を網羅的に分析する手法として、ガスクロマトグラフ質量分析計を用いた有機酸、糖、糖アルコールを中心とした代謝物解析システムを構築した。また、液体クロマトグラフ質量分析計を用いた脂肪酸やリン脂質を中心とした代謝物解析システムも同様に構築した。これらの構築した代謝物解析システムを用いて、健康診断等の際に収集した健常人の血清検体やがん患者血清検体の代謝物分析を進め、データを取得した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度には、ヒト血清検体の代謝物分析システムを構築し、さらに、そのシステムも活用して、健常人やがん患者血清中の代謝物を網羅的に解析していく計画を立てていたが、血清中の各種代謝物分析システムの構築も完了し、ヒト血清検体の分析を進めてきた。本研究用として収集してきたすべての血清検体の分析は、平成25年度にも引き続き、実施していくこととなっており、ほぼ予定通り進捗していると考えている。これらの現状を総合的に評価した結果、平成24年度の達成度は「おおむね順調に進展している」と判断している。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度には、ヒト血清検体の代謝物分析システムを構築していくとともに、そのシステムを使用したヒト血清検体の分析を進めてきた。平成25年度も引き続き、健常人やがん患者血清の代謝物分析を進めていくとともに、その分析にて得られる膨大な代謝物データを多変量解析等に供することで、より精度の高いバイオマーカー候補の決定を進めていく。さらに、なぜ、そのバイオマーカー候補の代謝物が、がんの発症により変動するのかを、マウスを用いた実験等により明らかにしていく計画をしている。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の予算繰り越し分については、質量分析計を用いたヒト検体代謝物分析を行う際に必要な各種消耗品(プラスティック消耗品やガラス消耗品、質量分析用試薬、質量分析用カラムなど)の購入費用として使用する。また、平成25年度の予算についても、同様に、ヒト検体代謝物分析における消耗品購入費用として使用する。また、平成25年度には、一部、マウスを使った実験を計画しており、マウスの購入に平成25年度予算を使用するとともに、本所属機関の動物実験施設にて動物(マウス)を飼育する場合には、動物実験施設使用料が必要となるため、本研究費において動物実験施設使用料を捻出する。本研究により得られた成果は、学会での発表を予定していることから、学会参加旅費を本研究費から捻出するとともに、学術論文での公表を行う際には、本研究費を用いて論文投稿費用を捻出する予定にしている。
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