研究課題
最終年度である平成26年度は、前年度に続いて研究協力者であるコロンビア大学医学部消化器内科TIMOTHY WANG教授の支援を得て研究を行った。特にヘリコバクター菌感染および発癌物質メチルニトロソウレア(以下MNUと略記)によるマウス胃発癌のメカニズムを明らかにすること、そのために、前庭部胃粘膜上皮の幹細胞マーカーであることが報告されているLGR-5と、新たな胃粘膜上皮幹細胞マーカーの候補であるガストリン/CCK2受容体(以下CCK2Rと略)の発現様式を解析することを主眼において研究を進めた。具体的には、以下の遺伝子改変マウス(1)または(2) を、(3)―(6)のいずれかの遺伝子改変マウスと交配させ、ヘリコバクター菌感染またはMNU経口投与により胃粘膜の変化を経時的に観察した:(1) ヒトプロガストリン高発現マウス(以下hGASマウス) (2)ヒトアミド化ガストリン高発現マウス(以下INS-GASマウス) (3)Lgr-5プロモーター制御下GFP発現ノックインマウス(以下Lgr5-GFPマウス)(4)CCK2Rノックアウトマウス(以下CCK2R-KO )(5) CCK2Rプロモーター制御下GFP発現ノックインマウス(以下CCK2R-GFPマウス)(6) CCK2Rプロモーター制御下CRE-ERT発現ノックインマウス(以下CCK2R-CREERTマウス)加えて、(1)または(2) のマウスにヘリコバクター菌感染またはMNU経口投与すると共に、CCK2R阻害剤であるYF476を腹腔内投与することにより、胃発癌が抑制できるかどうかを検討した。さらに、(3)Lgr5-GFPマウス胃前庭部から粘膜上皮細胞を単離し、フローサイトメーターにてGFP陽性および陰性分画に分けて培養し、それぞれにプロガストリンやYF476などを添加してコロニー形成能の変化等を解析した。
すべて 2015
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Gut
巻: 64(4) ページ: 544-553
doi: 10.1136/gutjnl-2014-307190.