研究課題
我々は、研究目的である組織幹細胞および癌幹細胞の腸型化のメカニズムを解明するため、以下のような研究を行った。1.マウス胃腺管・大腸腺管の三次元培養系:平成23年度から平成24年度にかけて、我々は約2か月間の長期の胃腺管培養が可能である三次元培養系(これまでの報告では長くて2週間程度)を確立し、英語論文として発表した(Biochem Biophys Res Commun., 432, 558-563, 2013.)。具体的には、生後1~2日のマウスから腺胃を取り出し1mm未満の切片に分断してコラーゲンゲルで培養する方法である。平成25年度には、上記の培養系がより安定的にかつ生体内に近い腺管構造を構築するには、線維芽細胞が重要であることを確認した。具体的には、あらかじめ分離培養した線維芽細胞を加えて共培養した三次元培養胃腺管の方が、加えない三次元培養胃腺管より安定的にコラーゲンゲル内で生育し、かつ培養胃腺管内に幽門腺および腺頚部粘液細胞のマーカーであるMUC6陽性細胞(通常の培養のみでは出現しない)が出現することを確認した。同じような事柄が、胃腺管の培養系だけではなく大腸腺管の培養系でも確認されており、今後、三次元培養系の研究を進めて行く上で線維芽細胞の役割の解明が重要であると考えられた。2.スナネズミモデル:胃の腸型化を考える上でHelicobacter pylori感染スナネズミモデルは有用な実験系であり、我々は内分泌細胞系に注目した研究成果を英語論文として発表しているが(Asian Pac J Cancer Prev., 12, 1049-54, 2011)、現在このモデルへの上記1.の応用を試みている。以上が、平成25年度を含めた平成23度から25年度の研究実績である。
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ISRN Gastroenterol
巻: 2013 ページ: 304894
doi: 10.1155/2013/304894.
Intern Med
巻: 52 ページ: 1049-53