研究課題/領域番号 |
23590924
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
荒川 哲男 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60145779)
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研究分担者 |
藤原 靖弘 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40285292)
富永 和作 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80336768)
渡邉 俊雄 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50336773)
谷川 徹也 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (70423879)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | ヘリコバクターピロリ |
研究概要 |
C57BL/6Jマウス(5週齢)にSydney strainであるH. pylori(SS1)を経口投与し感染させH. pylori感染胃炎を作成し、肉眼的・組織学的にH. pylori感染の有無(除菌)を確認した。感染マウスの胃炎の程度を組織学的に評価するとともに、好中球浸潤に関してはMPO活性にて評価した。結果、H. pylori感染が確認でき、組織学的にも炎症細胞浸潤を伴う胃炎の変化とMPO活性の上昇が確認された。気管支喘息は水酸化アルミニウムをアジュバントとしてOVAを腹腔内投与することによりOVA特異的Th2細胞を誘導させ、OVA吸入により気管支喘息を惹起させた。喘息の評価は肺胞洗浄液中の浸潤細胞数、Th2サイトカインであるIL-13およびTh1サイトカインであるIFNgをELISA法にて測定した。OVA感作群ではOVA吸入よりBALF中の好中球、マクロファージ、リンパ球を含めた浸潤細胞、特に好酸球数の増加が観察された。BALF液中のIL-13は有意に増加していたが、IFNgの増加は観察されなかった。H. pylori感染によるこれらOVA感作・吸入による影響は今回の感染期間における検討では明らかに抑制するかどうかの結果は十分得られなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
H. pylori感染による喘息の悪化が充分検討できなかったことは、感染時期と期間による影響が一因と思われた。当科基盤研究費取得後に海外の研究者らが報告したものによると新生児時期にH. pylori感染を起こすことで喘息の誘導が抑制された(Arnold I, et al. JCI 2011)と報告されており感染時期が重要な可能性が示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
長期感染群を現在飼育中であり、新生児時期感染とも含めてその影響を検討する。Arnoldの報告では新生児期感染による喘息抑制機序にTh17を介したTh2免疫系の抑制が報告されたので、本研究は別の面から抑制機序を検討するため、最近喘息を含めたアレルギー機序に重要な役割を担っていると報告されている好塩基球の役割に標的を絞って研究を推進する。
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次年度の研究費の使用計画 |
H. pyloriの感染長期のマウス(12か月)および11か月で除菌したマウスおよび新生児期に感染させたマウスを用いてOVA腹腔内投与し2週後にOVAを吸入させることで喘息を惹起させ肺胞洗浄液中の浸潤細胞数の解析およびTh2サイトカインの動態を検討する。Cytospinにより細胞をスライドグラスに固定し、Gimza染色により好酸球、免疫組織染色にてCD4陽性細胞数および好塩基球特異的抗体を用いた方法により浸潤細胞をカウントする。また肺胞洗浄液内に含まれるTh2サイトカインや好塩基球のマーカーであるMMCP-8についてELISA法やReal-time RT-PCR法にて測定する。同時に胃粘膜局所における好塩基球浸潤やそのマーカーの発現動態を受容体抗体であるCD200R3を用いて検討する。さらに気管支及び肺を採取固定した後、病理組織学的検討するとともに、マウスに気管挿管し、メタコリンを吸入による気道内圧の変化を測定し、気道過敏性を評価することにより、喘息の程度の機能的解析を行う。
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