研究課題/領域番号 |
23590925
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
谷川 徹也 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (70423879)
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研究分担者 |
藤原 靖弘 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40285292)
富永 和作 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80336768)
渡邉 俊雄 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50336773)
町田 浩久 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00382078)
荒川 哲男 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60145779)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | klotho / 胃癌 / 細胞増殖 / 創傷治癒 |
研究概要 |
(胃潰瘍治癒過程におけるアンチエイジング分子klothoの発現動態と潰瘍治癒促進作用)【背景と目的】Klothoはヒトの多彩な老化症状類似の変異表現形をもつマウスから同定された老化抑制分子として同定されたタンパクである。本研究では、胃潰瘍治癒過程におけるklothoの動態と潰瘍治癒に及ぼす作用について検討した。【方法】(1)マウスに酢酸実験潰瘍を作成し、潰瘍作成日より3日後を潰瘍発生日として潰瘍発生日より4日後および7日後に胃を摘出した。(2)潰瘍組織におけるklothoの発現はreal time RT-PCR法を用いて検討した。マウスリコンビナントklothoを1日2回腹腔内投与して潰瘍発生日より4日後および7日後に胃を摘出して潰瘍面積を比較した。【結果】(1)潰瘍発生日より4日後の潰瘍組織においてklotho遺伝子の発現低下が認められた。(2)リコンビナントklothoの投与は胃潰瘍治癒を促進させた。【結論】胃潰瘍組織においてklothoの発現は低下していること、klothoの投与は潰瘍治癒に対し促進的に作用することが明らかとなった。(胃癌細胞の細胞増殖におけるklothoの効果)胃潰瘍治癒促進作用および胃癌に対するklothoの影響を検討するため、以下の検討を行った。胃癌細胞株(AGS, MKN7)を用いて胃癌細胞の遊走能および細胞増殖能に対するklothoの効果をwound healing assay およびMTT assayにより検討した。その結果klothoは胃癌細胞遊走能は亢進させなかったが増殖能を亢進させた。以上より、klothoは細胞増殖能についてはむしろ亢進させることがわかり、これまで報告されている抗腫瘍作用とは反対に細胞増殖能を亢進させることにより発癌や癌の進展に関与する可能性が視させれた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の検討ではklothoが胃癌の増殖能に対してはむしろ促進的に作用することを示すことができたが、初年度計画していたヘリコバクターピロリ菌感染胃炎におけるklothoの臨床的意義に関する検討が未検討となっている。来年度はヒト臨床検体(内視鏡生検標本)を用いて除菌前後におけるklothoの発現の動態を検討したい。
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今後の研究の推進方策 |
基礎的検討については胃潰瘍治癒過程におけるklothoの意義を細胞内シグナル伝達機構の面から検討し、その研究よりヒントを得て胃癌の発癌や進展・転移におけるklothoの機能を更に詳細に検討する予定である。また、translational research としてヒト臨床検体(内視鏡生検標本)を用いて除菌前後におけるklothoの発現の動態の変化を検討する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は主にヒト臨床検体(内視鏡生検標本)を用いて除菌前後におけるklothoの発現の動態を検討するため、組織切片の作成と抗klotho抗体と免疫組織染色キットの購入に使用する。
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