研究課題/領域番号 |
23590925
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
谷川 徹也 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (70423879)
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研究分担者 |
藤原 靖弘 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40285292)
富永 和作 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80336768)
渡邉 俊雄 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50336773)
町田 浩久 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 医員 (00382078)
荒川 哲男 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60145779)
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キーワード | ヘリコバクター・ピロリ / 胃癌 / 細胞増殖 / 創傷治癒 / 消化管上皮 / 慢性胃炎 |
研究概要 |
【背景】Klothoはヒトの多彩な老化症状類似の変異表現形をもつマウスの研究から老化抑制分子として同定されたタンパクである。その主な生理機能は腎におけるカルシウムの輸送制御およびリン代謝の内分泌制御であるが、その他にも抗炎症作用などの多彩な作用が解明されつつある。 (研究1)胃潰瘍とヘリコバクター・ピロリ(ピロリ)感染には密接な関連がある。本研究では胃潰瘍治癒過程におけるKlothoの発現動態と潰瘍治癒に及ぼす影響について検討した。マウス酢酸実験胃潰瘍においてKlothoの発現は主に胃上皮細胞に認められた。潰瘍辺縁の組織では健常組織に比較してKlotho mRNAの発現は約1/5に低下していた。リコンビナントKlothoの投与は胃潰瘍治癒を促進させた。Klothoは胃上皮細胞の細胞増殖能を亢進させた。以上から胃潰瘍組織においてKlothoの発現は低下すること、Klothoを投与することにより潰瘍治癒は促進することが明らかとなった。Klothoの潰瘍治癒促進作用の機序として上皮細胞増殖促進作用の関与が示唆された。 (研究2)Toll-like receptor(TLR)は微生物由来の分子を認識し自然免疫を発揮するが、そのなかでTLR9は微生物由来のオリゴヌクレオチドを認識する。本研究ではピロリ誘発胃炎におけるKlothoの意義を解明する上の予備的検討として、ピロリ誘発胃炎におけるTLR9シグナルの意義をTLR9欠損マウスを用いて検討した。ピロリ感染後早期においてピロリ感染により誘導されるtumor necrosis factor alphaおよびinterferon gammaの遺伝子発現はTLR9欠損マウスでは野生型マウスに比較してさらに増強しており好中球浸潤もより高度であった。以上から、TLR9シグナルはピロリ誘発胃炎の初期過程において抗炎症的に作用することが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度計画していたヘリコバクターピロリ感染胃炎におけるKlothoの臨床的意義に関する検討が未検討となっている。
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今後の研究の推進方策 |
初年度計画していたヘリコバクター・ピロリ感染胃炎におけるKlothoの臨床的意義に関する検討については、除菌前後のヒト胃粘膜サンプルの採取例数が未だ不十分であるため、ヘリコバクター・ピロリ感染マウスを用いて除菌療法を施行し、除菌前後におけるKlothoの発現動態および胃粘膜炎症への関与を検討する。また、胃粘膜炎症におけるKlothoの意義をin vitroの系を用いて炎症免疫学的に検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
下記を購入する予定です。宜しくお願いします。 ・動物実験に使用するマウス ・Klotho mRNAおよび炎症性サイトカイン ・酵素の発現検討のためのreal time RT-PCR関連試薬および各種プライマー&プローブ ・細胞培養系実験のための細胞培養用品および各種試薬類
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