研究概要 |
現在ゲノムの約163ケ所に炎症性腸疾患と相関する領域が同定されている。その中でもNKX2.3遺伝子領域のTag SNP(rs10883365)は、人種を超えて炎症性腸疾患との相関が確認され、NKX2.3が有力な炎症性腸疾患の感受性遺伝子候補と考えられている。NKX2.3リスク対立遺伝子は血管内皮において高発現している特徴をもっていることが本申請者らの研究で明らかにされている。そこで転写因子NKX2.3が血管内皮でどのようにして疾患感受性を高めるか(disease pathway)を解析するために、血管内皮細胞における転写因子NKX2.3のターゲット遺伝子群を同定し、NKX2.3が疾患感受性に影響を与えるdisease pathwayを解明することを目的とした。NKX2.3発現ベクター作成を行い、HUVECを不死化したHUVEC CRL-1730を用いて、遺伝子導入実験を行った。遺伝子導入後の12時間後、24時間後の発現を解析した。解析には発現解析用マイクロアレイを使用した。またChIP (chromatin immunoprecipitation)on Chipにてプロモター領域にNKX2.3が結合する遺伝子を同定した。さらにMAdCAM-1遺伝子5’領域をPCRにて増幅しpGL4.11[luc2P] firefly luciferase vector (Promega)に挿入し、プロモーターアッセイを行った。その結果遺伝子導入後の発現解析と、ChIP on Chipi解析にて、inflammatory response, cell proliferationに関与する遺伝子群が同定されてきた。MAdCAM-1遺伝子プロモターアッセイでは、NKX2.3の結合領域を確認することはできなかった。
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