研究概要 |
本研究は消化器癌のゲノム異常及びエピゲノム異常を解析することにより、化学療法における特定の薬物に対する感受性・抵抗性を予測することを目的とする。 計画としては化学療法を受ける進行または再発の胃癌・大腸癌各40 例を対象にSingle Nucleotide Polymorphism (SNP) array を用いた染色体コピー数解析、直接シークエンス法による遺伝子変異解析、COBRA法による遺伝子プロモーターメチル化解析を行い、各薬物における化学療法時の抗腫瘍効果(腫瘍縮小反応・無増悪生存期間)との相関を検討することとした。 本研究は臨床検体を用いた遺伝子解析を含むため、まず三省指針に従った研究計画書を作成し、京都大学大学院および京都大学医学部附属病院医の倫理委員会に申請し承認を得た(承認番号G428、承認日:平成23年8月11日)。また2004年11月以降、京都大学医学部附属病院で化学療法を受けた進行再発胃癌135例、進行再発大腸癌408例を外来化学療法部データベースより抽出し、治療歴から以下の候補症例を選定した(重複を含む):オキサリプラチン評価対象大腸癌48例、イリノテカン評価対象大腸癌35例、ベバシズマブ評価対象大腸癌49例、ティーエスワン評価対象胃癌48例、イリノテカン評価対象胃癌76例、パクリタキセル評価対象胃癌86例 また、染色体解析のためのSNP array及び反応キットを購入し(Mapping 500K Nsp, アフィメトリックスジャパン)、新たに解析システムを構築した。テスト症例では(以下染色体短腕をp、長碗をq、欠失を-, 重複を+で表す)-4q, +5, -8p, -9q, +12q, -13q, +13q, -14q, -16q, +17q, +20などの多彩な染色体異常が検出された。
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