申請者らはIGF中和抗体のin vivoでの抗腫瘍効果を前立腺癌骨転移(Cancer Res 2004)、大腸癌肝転移(Clin Caner Res 2005)、多発性骨髄腫(Int J Cancer 2005)、乳癌骨転移(Clin Exp Metastasis 2008)、家族性大腸腺腫(Mol Cancer Ther 2010)において示してきた。これらの結果はいずれも腫瘍局所で活性化されたBioactive IGFが治療標的として有用であることを示している。一方、Bioactive IGF はIGF標的治療においてその効果や投与量および副作用を予測するための有力なバイオマーカーになると考えられる。Bioactive IGFの測定については、マウス血液では確立された測定法がなく、ヒト検体においても測定過程でIGFBPの影響を容易に受けるため、商業的なELISA法では、生体内における濃度を正確に評価することは困難と考えられた。申請者はIGF受容体過剰発現細胞を血液検体で刺激し抗リン酸化IGF受容体抗体を用いたウエスタンブロット法にてIGF受容体のリン酸化を検出しbioactive IGFを測定する方法を考案した。この方法はIGF受容体のリン酸化を指標としているため、bioactive IGFを正確に反映していると考えられる。詳細な検討の結果、EDTA血漿を用い検体の長期保存を避けることによりヒトおよびマウスのbioactive IGFを正確に検出することが可能となった(論文投稿準備中)。事実、非膵島細胞腫瘍性低血糖を呈した大腸癌の症例においてこの測定系を用いて、Bioactive IGF-2が増加していることを証明した(論文投稿中)。
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