研究課題
私共のこれまでのクローン病モデルマウス(SAMP1/Yit)を用いた検討で、クローン病の病態における制御性B細胞の機能異常が明らかとなっていた(Immunology 2010)。その後のマウスの実験では、SAMP1/Yitの腸管膜リンパ節から分離したCD4陽性T細胞をSCIDマウスへ移入した腸炎モデルを作製し、同時移植した制御性B細胞が腸炎発症や増悪に影響を与えるかを実験的に評価した。IL-10を産生するB細胞を制御性サブセットと考え検討をおこなったところ、CD1dhighCD19highのポピュレーションがIL-10を有意に産生する細胞集団であることが明らかとなり、本表面マーカーによって制御性B細胞を規定した。SCIDマウス移入モデルでは、全B細胞移入を共移入した群に比べて、制御性B細胞(CD1dhighCD19highのB細胞)を除去したB細胞を共移入した群において、有意に腸炎の程度が増悪した。本検討は、制御性B細胞が腸炎の発症や増悪に関わる可能性を示唆する所見と考えられた。その後、制御性B細胞の炎症抑制機序について制御性T細胞との関連を実験的に検討した。SAMP1/Yitの腸管膜リンパ節から分離したCD4陽性T細胞から制御性T細胞サブセット(CD4+CD25+)を除去したT細胞群を調整し、SCIDマウスへ移入した腸炎モデルを作製した。制御性T細胞サブセットの除去によってSCIDマウスの腸炎は明らかに増悪した。このマウスに全B細胞移入および制御性B細胞(CD1dhighCD19highのB細胞)を除去したB細胞を共移入した2群の腸炎モデルを作製したが、同様に制御性B細胞による炎症抑制が確認されたことから、本モデルでは制御性T細胞非依存的に制御性B細胞が炎症を抑制している可能性が示唆された。2013年度は、上記の内容をInflammatory Bowel Diseases (2014) に投稿し、査読を経てアクセプトされた。
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