RNA結合タンパク質であるSRp20をノックダウンした大腸がん細胞は、G1/S移行期で細胞周期が停止し、アポトーシスが進行することをFACscanとTUNNEL法でそれぞれ確認した。次いでSRp20をノックダウンした細胞では、1500遺伝子の発現が変化することをヒト遺伝子発現アレイにより確認し、パスウエイ解析により、G1/S移行期の制御遺伝子の特徴的な変化を捉え、G1/S移行期で細胞周期停止に関与する遺伝子群を同定した。エキソンアレイを用いて、SRp20のノックダウンにより生じる125遺伝子の選択的スプライシングの変化を確認し、G1/S移行期の制御遺伝子とアポトーシス関連遺伝子の特徴的な選択的スプライシングを捉えた。FLAGタグ標識SRp20を過剰発現する細胞を用いて、RIP-Chip法(RNA Immunoprecipitation followed by Microarray)により、SRp20が結合するmRNAを網羅的に解析して、標的候補遺伝子を同定した。上記の解析をもとに、G1/S移行期での停止を介在する候補として細胞周期調節転写因子(E2F1とE2F7)を、アポトーシスを介在する候補としてp53に働くキナーゼ(HIPK2)を見出した。以上の結果を踏まえ研究内容を、Oncogene. 2013 Mar 18. doi: 10.1038/onc.2013.86. [Epub ahead of print]に発表した。
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