今後の研究の推進方策 |
【転写抑制遺伝子ZFP-BA とHB-EGF-CTFとの結合抑制】 HB-EGF-CTFの核移行抑制と本遺伝子をターゲットとした大腸癌発癌および進展を抑制する分子を検索する予定である.TPAのshedding誘導にてHB-EGF-CTFは核移行するが,その移行を抑制する物質としてKB-R7785が存在する.しかし,KB-R7785はその毒性のため生体投与が不可能であることが過去のマウスを用いた研究から判明している.shedding誘導にてHB-EGF-CTFは核移行しZFP-BAと結合しその機能を抑制するが,このHB-EGF-CTFとZFP-BAとの結合を抑制する物質を検索する予定である.はじめに,High-throughput screening system(Alphascreen®)を用いて,HB-EGF-CTFとZPF-BAとの結合を抑制する可能性のある物質の候補を9000の化学物質ライブラリー (CarnaBioscience Inc., Kobe, Japan)から選別する.大腸癌培養細胞(HT29,HCT116, CaCo2)に対し候補となった新規物質を投与し,HB-EGF-CTFとZPF-BAとの結合が抑制されることを細胞蛍光免疫染色およびレポーターアッセイ系にて確認する.さらにCell Counting Kit8 (CCK-8) (Dojindo Laboratories,Kumamoto, Japan)等を用い,細胞増殖能が抑制されることを検討する.今までの検討で,一部のアンギオテンシンII受容体拮抗薬(ARB,高血圧治療薬)によって,HB-EGF-CTFとZFP-BAとの結合が抑制されることが判明し,ZFP-BAの発現低下を抑制することが可能と推察される.生体投与の可能な既存の抗癌剤にかわる新規分子標的薬の開発および臨床応用につなげたい.
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