研究課題
平成25年度は、Fn14 遺伝子欠損マウスを用いて、放射線照射による粘膜傷害実験の他に、抗癌剤の投与を行いその感受性を調べた。まず、野生型マウスを用いてDNAアルキル化剤、代謝拮抗剤など機序の異なる抗癌剤を投与し、消化管粘膜傷害を誘導する条件を検討した。その結果、投与後2日から3日で、空腸全体で絨毛の顕著な短縮と減少が認められることがわかった。Fn14 遺伝子欠損マウスで同様にDNAアルキル化剤の投与を行うと空腸絨毛の変化をほとんど認められず、野生型マウスに比較して強い耐性を示した。一方、代謝拮抗剤に対しては野生型マウスと同様の空腸組織傷害が認められた。投与後の細胞回転を調べるため、Ki67陽性上皮細胞数を免疫組織染色によって調べたところ、DNAアルキル化剤投与後2日目では野生型、Fn14遺伝子欠損マウスのいずれにおいても正常組織とほぼ同数のKi67陽性上皮細胞が認められた。しかし、投与後3日では、野生型のマウスでKi67陽性上皮細胞が粘膜傷害とともに著しく減少していたのに対して、Fn14遺伝子欠損マウスでは正常組織に匹敵する数が保たれていた。またTUNEL染色により、アポトーシス細胞を検出したところ、野生型マウスでは絨毛基部に多くのアポトーシス細胞が出現していたがFn14遺伝子欠損マウスではアポトーシス細胞の顕著な増加は認めなかった。代謝拮抗剤投与では、野生型・Fn14遺伝子欠損マウスのいずれにおいてもKi67陽性細胞の減少、アポトーシス細胞の増加を認めた。以上の結果より、DNA傷害による細胞死シグナル経路は、Fn14に強く依存していることが明らかとなった。
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