研究課題/領域番号 |
23590960
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
五藤 忠 東京大学, 医学部附属病院, その他 (40444088)
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研究分担者 |
吉田 晴彦 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (60240305)
大塚 基之 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (90518945)
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キーワード | microRNA / DDX20 / 肝細胞癌 / 国際情報交換 アメリカ |
研究概要 |
今年度は昨年に引き続き、肝癌で発現が低下していることの多いmicroRNA complexの構成因子であるDDX20のノックダウン細胞を用いて、それにともなう細胞内シグナル伝達の撹乱状況を検索した。昨年度はmicroRNA140の機能低下に伴うNF-kappaBの活性増強が起きることをみいだしていたが、今年度はその原因がmicroRNA140の低下に伴うNF-kappaBの増強効果にあることが示唆されていたが、今年度はmicroRNA140の直接標的としてDnmt1を同定した。これにより、DDX20の発現低下があるとmicroRNA140の機能が低下し、それによってDnmt1の発現が増強してくることが示唆された。 Dnmt1はゲノムDNAのメチル化を惹起して、遺伝子の発現をサイレンシングする方向で働くものと考えられるが、今回の研究で、Dnmt1はメタロチオネインのプロモーターのメチル化を惹起しそれらの発現を低下させることが示された。従来からメタロチオネインは発現がおちるとNF-kappaBの活性を増やすことが示されており、これらのシグナル伝達経路の異常がNF-kappaBの恒常的な活性化を惹起し、その結果 易発癌性に傾くものと推定された。 B型肝炎ではDDX20の発現が低下していることが多いため ここで示された機序が発癌に寄与している可能性が考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通りDDX20が関与する細胞内シグナル伝達系を同定したうえで その分子機構を解析した結果、肝発癌に寄与する可能性がより確認されてきたため。
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今後の研究の推進方策 |
現在の研究をさらに進めて、in vivoにおける DDX20によって影響が及ぼされるmicroRNA機能の同定・B型肝炎ウイルスによるDDX20の発現レベルに与える影響などを検討し、介入法の開発につなげていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度の結果をもとにして、今年度はmicroRNA140のノックアウトマウスの使用と共に、DDX20のコンディショナルノックアウトマウスを作製し解析する。特に DDX20のノックアウトマウスは胎生致死なため、本研究計画内でコンディショナルノックアウトマウスを作製し解析することは 生物学的にも意義がある。
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