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2012 年度 実施状況報告書

IGF-Iを用いた肝の再生促進と機能改善:作用点を考慮した治療法の検討

研究課題

研究課題/領域番号 23590961
研究機関東京大学

研究代表者

冨谷 智明  東京大学, 医学部附属病院, 特任講師 (90227637)

研究分担者 池田 均  東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (80202422)
キーワード再生医学 / 栄養学
研究概要

肝再生、肝細胞増殖の促進および肝機能、肝細胞機能の発現促進が、肝不全の治療において合目的的であり、必要とされる。増殖と機能促進の優先度は病態、病期によって異なるため、これらをコントロールすることは重要である。この点を目的として、様々な治療法の開発が現在試みられている。
IGF-Iは、Insulinと高い相同性を示し、受容体のcross-talkも認められるが、その生物活性は相違点を有する。糖、蛋白、脂質などの代謝調節、更に、生存シグナルの増加、細胞分化・増殖・維持に関与していると考えられている。生体においては肝が主たる産生臓器である。肝不全においてはその血中濃度が低下し、IGF-I補充療法が想定される。しかし、肝細胞に対する直接の効果に関して否定的な報告が主体であるため議論が多い。肝における作用点、どの細胞にいかなる効果をもたらしうるのか、を明らかにする必要があると考えられる。
基礎となる成熟肝細胞に対する直接作用の確認により、IGF-Iは肝細胞のIGF-I受容体を活性化し、下流の情報伝達系を活性化すること、蛋白合成、増殖、糖代謝を促進することが検証した。またこれらは情報伝達系のなかのmTOR系に依存することを見出した。一方で、肝星細胞におていは、肝細胞に比し多くのIGF-I受容体が発現しており、やはり受容体をリン酸化し線維増生抑制的に働くことを見出した。しかし増殖に対してはむしろ促進的であった。In vivoにおける効果をみるためには、肝細胞以外の細胞に対する効果の検証が重要であり先行して行う必要があることが判明した。そこで、肝星細胞における意義を更に検討し、こちらにおいてもmTOR系が鍵になること、MMPs、TIMPにIGF-Iが作用して、線維の分解系を促進することを見出した。しかし、細胞そのものに対する毒性等は認められなかった。これらの点を更に追求しているところで有る。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

基礎的な検証が行えた。
肝細胞だけでなく他種細胞における検討も行い、臨床応用をめざした検討となり得たと思われる。

今後の研究の推進方策

更により有効な状況の検討、正負の影響の評価を充分に行って行きたい。臨床応用には必要な基礎的検討と考える。

次年度の研究費の使用計画

ペプチド等消耗品費が必要である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2012 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Interaction of α-taxilin localized on intracellular components with the microtubule cytoskeleton.2012

    • 著者名/発表者名
      Horii Y, Nogami S, Kawano Y, Kaneko-Kawano T, Ohtomo N, Tomiya T, Shirataki H.
    • 雑誌名

      Cell Struct Funct

      巻: 37 ページ: 112-126

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Antagonism of sphingosine 1-phosphate receptor 2 causes a selective reduction of portal vein pressure in bile duct-ligated rodents.2012

    • 著者名/発表者名
      Kageyama Y, Ikeda H, Watanabe N, Nagamine M, Kusumoto Y, Yashiro M, Satoh Y, Shimosawa T, Shinozaki K, Tomiya T, et al.
    • 雑誌名

      Hepatology

      巻: 56 ページ: 1427-1438

    • DOI

      10.1002/hep.25780

    • 査読あり
  • [学会発表] Reduction of collagen production by insulin-like growth factor I is independent of activation state of hepatic stellate cells2012

    • 著者名/発表者名
      Nishikawa T, Tomiya T, Ohtomo N, Inoue T, Ikeda H, Shirataki H, Koike K.
    • 学会等名
      The 63rd annual meeting of the American association for the study of liver diseases
    • 発表場所
      Boston, USA
    • 年月日
      20121109-20121113
  • [学会発表] 肝星細胞の増殖とコラーゲン産生に対するIGF-I の影響に関する検討2012

    • 著者名/発表者名
      西川尚子、富谷智明、大友夏子、井上有希子、池田均、白瀧博通、小池和彦
    • 学会等名
      第19回肝細胞研究会
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      20120629-20120630
  • [学会発表] 肝星細胞におけるコラーゲン産生に対するIGF-Iの直接作用2012

    • 著者名/発表者名
      西川尚子, 富谷智明, 大友夏子, 井上有希子, 池田均, 白瀧博通, 小池和彦
    • 学会等名
      第48回日本肝臓学会総会
    • 発表場所
      金沢
    • 年月日
      20120607-08
  • [備考] 消化器内科 医学部 東京大学医学系研究科

    • URL

      gastro.m.u-tokyo.ac.jp/med/home.html

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公開日: 2014-07-24  

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