研究課題/領域番号 |
23590963
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山敷 宣代 東京大学, 医学部附属病院, 特任講師 (90420215)
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研究分担者 |
菅原 寧彦 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (90313155)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 臓器移植 / 地域医療連携 |
研究概要 |
脳死肝移植件数の極めて少ない本邦では生体ドナーからの臓器提供に依存しており, 提供者のいない多くの患者が脳死肝移植待機中に死亡するか, または移植そのものが検討されない. 本研究では申請者等が報告してきた当科受診患者の転帰とその頻度, および移植後の成績等の実測パラメーターを利用し, 移植適応評価開始から登録まで, および登録後移植に至るまでの予測モデルを作成する. 潜在的に肝移植を必要とする患者数を調査し, 移植適応患者紹介の実態と問題点を把握する. 両者の結果を統合し, 「死亡」「脱落」の転帰をとる患者を減らし「移植待機」または「移植」となる比率を増加するための医療指針および医療システムを社会に提案することが目的である.本年度は,血清学的指標に基づいたModel for End-stage Liver Disease score (MELD score)と,肝硬変の重症度の指標であるChild分類の時系列解析を行い,一定期間でどのような状態に遷移していくかをシュミレーションした.シュミレーション結果は,実際に転帰(移植または死亡)の判明している患者群の生存曲線に類似しており,ある程度信頼性のある計算結果と考えた.肝移植適応評価を行った患者の臨床データおよび血液検査データを時系列で収集し,どのような遷移パターンをとった場合に死亡の転帰となるのかを検討した.また,移植適応患者紹介の実態と問題点を把握するために,肝移植症例の紹介を受けたことのある医療機関を対象として,アンケート調査を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は, (1)地域医療連携における実態把握, (2)予測モデルの作成 の両輪で計画している.本年度は,以下の事を行った.(1)地域医療連携における実態把握(A) 院内症例の把握(B)地域医療機関へのアンケートを作成し252施設に送付,103施設から回答を得た.(2)予測モデルの作成:既存データベースの欠損値を細小にするため,変数や転帰が入力しやすいようにデータベース改良を行った.時系列データを入手し得た症例について,各アウトカム(死亡,移植,待機継続)への移行頻度を算出し,ある母集団が一定期間でどのような状態に遷移するかのモデルを作成した.
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今後の研究の推進方策 |
(1)地域医療連携における実態把握:前年度に実施した地域医療連携施設へのアンケート結果について解析する. (2)予測モデルの作成:既存の患者データベース改良を引き続き行い,改良後変数入力を行ってアウトカムの欠損値を最小限にする. 東大肝胆膵移植外科における肝移植適応評価患者のデータベースを用いて, モデルの精度を検証する. さらに, 移植適応評価の対象とならなかった, 東大消化器内科のデータベースから移植適応患者のデータを抽出し, モデルの精度を検証する.
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は東大肝胆膵移植外科における肝移植適応評価患者のデータベースを用いて, モデルの精度を検証する. このデータベースの構築を発注する.さらに,研究成果を発表するため,国際会議に参加する.
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