研究課題/領域番号 |
23590966
|
研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
高原 照美 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 准教授 (60240777)
|
研究分担者 |
梨井 康 独立行政法人国立成育医療研究センター, 研究所, 室長 (60321890)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 間葉系幹細胞 / 肝再生 / ライブイメージング |
研究概要 |
肝再生療法として効率の良い細胞治療法の開発が求められる。しかし注入された幹細胞がどのように肝臓に遊走・生着・分化していくのか、また効率の良い肝臓内ニッチの探索はなされていない。本研究では、(1)ライブイメージングの手法を用いて、レポーター遺伝子で標識した間葉系幹細胞がどのように肝臓へ遊走・生着・分化するか、時間・空間的動態をマクロ及びミクロで解析する。さらに、(2)肝臓内ニッチに発現する有用な分子をマイクロダイセクションで解析し、細胞外マトリックスの有用性とMMP発現の意義を明らかにする事が目的である。今年度は当初の計画どおり、1)遺伝子改変動物Luc Rat, LacZ ratを交配:レポーター遺伝子ルシフェラーゼ(Luc)、LacZを持つ double レポーターTG ラットを得た。2)間葉系幹細胞の精製:Luc/LacZ double TGラットの骨髄から間葉系幹細胞を得た。得られた細胞はMACSを用いてCD 11b, CD 45陰性細胞を得て、さらにCD90陽性細胞を得た。3)間葉系幹細胞のin vitroの解析:間葉系幹細胞培養系に脂肪細胞分化因子、骨細胞分化因子、肝細胞分化因子(HGF, b-FGF, oncostatin M)を添加して間葉系幹細胞の多分化能を確認した。4)間葉系幹細胞の投与:正常recipientラットに肝障害(急性・慢性四塩化炭素障害)を誘導し、さらに1x 107個の間葉系幹細胞を注入した。5)ライブイメージングで幹細胞の観察:recipientラットにルシフェリンを投与し経時的に小動物蛍光イメージング装置で観察して、注入された幹細胞の時間・空間的動態を計測し、肝臓へ最も動員される経路の同定を行った。脾臓経路が最も良好であることが判明した。現在長期観察を行って幹細胞の形態的同定、分化の解析を行っている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上記の実績の通り、当初の計画のうち1)~5)まで完了した。しかし、6)肝臓ニッチの遺伝子解析:マイクロダイセクションを用いて肝臓内ニッチの組織の解析を行う。beta-Gal染色をマーカーとして肝臓内ニッチを同定しマイクロアレイ、免疫染色で発現分子を同定することを年度内で予定していたが、マイクロダイセクションの技術習得に時間がかかっている。今後速やかに技術を習得し実行する予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
上記6)の実験を継続しながら、24年度に計画した下記の内容を遂行する。1)遺伝子改変動物EGFPとMMP-9 KO, MMP-2, MMP-14 KO マウスを交配:EGFP/ MMP-KO double TGマウスを得る。 2)間葉系幹細胞の精製とin vitroの解析:Double TGマウスから上記と同様に間葉系幹細胞を得て、間葉系幹細胞の多分化能を確認する。3)間葉系幹細胞の投与:Recipientマウス( 正常またはMMP-2, 9 KO )に肝障害(急性・慢性四塩化炭素障害、部分肝切除など)を誘導し、さらに1x 106個の間葉系幹細胞を注入する。注入経路は、前年度の結果を応用する。4)ライブイメージングで幹細胞の観察:Recipientマウスを経時的に小動物蛍光イメージング装置で観察して、注入された幹細胞の時間・空間的動態を観察する。さらに各種免疫染色を行うことによって光学顕微鏡、電子顕微鏡により幹細胞の分化と形態的同定を行う。5) 多光子レーザー顕微鏡を用いた肝臓ニッチのミクロの解析: 多光子レーザー顕微鏡(Leica TCS SP5 MP with Mai Tai laser)を用いて幹細胞の動態を更に詳細に解析する。尾静脈からTexas red conjuagted 70kDa dextranを注入し、EGFP(+)間葉系幹細胞の肝臓での動態を顕微鏡レベルで解析する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
上記の実験を遂行するに当たって、経費のほとんどは物品費(試薬、解析用キット)とその他(動物)に使用する。また成果を国際学会で発表するため旅費を計上する。いずれも実験を遂行するために必要である。
|