研究課題
肝再生療法として効率の良い細胞治療法の開発が求められる。しかし注入された幹細胞がどのように肝臓に遊走・生着・分化していくのか、また効率の良い肝臓内ニッチの探索はなされていない。本研究では、①ライブイメージングの手法を用いて、レポーター遺伝子で標識した間葉系幹細胞がどのように肝臓に遊走・生着・分化していくのか、時間・空間的動態をミクロおよびマクロで解析する。さらに、②肝臓内ニッチに発現す有用な分子をマイクロダイセクションで解析し、細胞外マトリックスの有用性とMMP発現の意義を明らかにすることが目的である。昨年度は、遺伝子改変動物Luc/LacZ double TG rat を作成しそこから間葉系幹細胞を採取してin vitro の解析として間葉系幹細胞の多分化能を確認した。さらに正常recipient ラットに肝障害を誘導し、ライブイメージングで注入した幹細胞の観察を行った。本年度もライブイメージングを用いて細胞の長期間観察を行う予定であったが、大学施設の改修工事のため長期間イメージング機器の使用が困難であった。今年度は、遺伝子改変動物EGFPとMMP-9 KOマウスを交配してEGFP/MMP-9 KO double TG マウスを作製した。Double TG マウスから上記と同様に間葉系幹細胞を得て、間葉系幹細胞の多分化能を確認した。Recipient マウス( 正常またはMMP-9 KO)に肝障害を誘導し間葉系幹細胞を注入しライブイメージングで幹細胞の観察を行う予定であったが、上記、イメージング機器の使用が困難であったため、実験は共同研究者と共に多光子レーザー顕微鏡を用いて蛍光色素でラベルしたヒト及びマウスの株化間葉系幹細胞を用いて肝臓にどのように遊走・生着するか動的に解析した。その結果、脾臓から入れた間葉系幹細胞は障害肝に遊走する像が観察された。
3: やや遅れている
施設改修に伴いライブイメージング装置が使用できなかった。またレポーター遺伝子を持つ初代の間葉系幹細胞を使用する予定であったが、共同研究者の施設の多光子レーザーを使用することとしたために、蛍光色素でラベルした細胞株を用いることとした。しかし、ライブイメージングに比べ多光子レーザーは単一細胞でも遊走・生着を観察できるメリットがあった。今回、多光子レーザーで肝臓の細胞遊走が観察する事が可能となった。今後は長期間動物を経時的に観察して細胞の分化まで観察する予定である
今後は多光子レーザーを使用して、ヒト、マウス間葉系幹細胞株(種々の分化過程の細胞を用いる)の肝臓への遊走・生着・分化の変化、及びFACSを用いて、移植した細胞の分化、特に免疫細胞へ変化していないかを経時的に検討する。一方、肝臓ニッチの解析のためにはEGFP/MMP-9 KO double TG マウス移植動物モデルを用いて、肝臓におけるMMP-9の重要性を検討することとする。
生じた状況:計画的に予算は執行したが12175円の繰り越しが生じた。次年度の使用計画:次年度に請求分と合わせて経費のほとんどは物品費(試薬、解析用キット)と動物飼育費用にあてる。いずれも研究の実験遂行に必要な経費である。繰り越し 12千円平成25年 1000千円--------------------計 1012千円
すべて 2012
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (2件)
Cell Transplant
巻: 21 ページ: 453-464
10.3727/096368911X605367
Helicobacter
巻: 17 ページ: 277-281
10.1111/j.1523-5378.2012.00943.x.
Cell Transplant.
巻: 21 ページ: 581-90
10.3727/096368911X605510.
Transplantation.
巻: 94 ページ: 14-21
10.1097/TP.0b013e318255f8be.
Cell Immunol.
巻: 276 ページ: 128-34
10.1016/j.cellimm.2012.04.012.
Transplantation
巻: 93 ページ: 1116-24
10.1097/TP.0b013e31824fd7cd.
Liver Transpl
巻: 18 ページ: 444-54
10.1002/lt.22480.