研究課題
肝細胞癌の細胞起源、発癌の鍵となる遺伝子異常の同定ならびに進行肝細胞癌に対する新規治療法開発を目指し、本研究では肝硬変組織における肝前駆細胞と肝細胞ならびに肝細胞癌における癌幹細胞を分離、次世代シークエンサーを用いた遺伝子異常の解析およびマイクロアレイを用いた転写制御異常の解析を網羅的に行うことを目的としている。これまでにMACSにより分離精製した肝細胞癌における癌幹細胞および非癌幹細胞からDNAを抽出しクオリティを確認、非癌部の肝硬変組織、末梢血単核球からはDNAを抽出しIllumina HiSeq2000およびAgilent Sure Select Target Enrichment Systemを用いてWhole exome解析を行った。昨年度までに各サンプルで60-80程度のframeshift mutation、missense/nonsense mutation を同定、その中にはTP53やARID1A/2のようなすでに報告された遺伝子変異が含まれていたが、未知の遺伝子変異も多く含まれていた。最終年度においては、EpCAM陽性肝癌細胞で特異的にフレームシフト変異を起こしているPCDH18について解析を行い、肝癌60例中4例で変異が生じていることを確認した。また、興味深いことに肝癌培養細胞株においてはEpCAM陽性肝癌細胞で発現低下が認められた。本研究により肝癌幹細胞においては癌幹細胞特異的な遺伝子変異が生じ、機能消失が癌幹細胞形質に影響を与えている可能性が示され、今後の癌幹細胞特異的な治療法確立への貢献が期待された。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)
Journal of Hepatology
巻: 60 ページ: 127-134
10.1016/j.jhep.2013.08.024.