研究課題
脂肪組織由来間質細胞への遺伝子導入方法に関して、レンチウイルスベクターによる導入法について検討を行った。GFPを発現するLentivirus(Lentivirus-GFP)をHEK293T細胞にて、Lenti-XTM HTX packaging systemを用いて調整した。Lentivirus vectorの力価は、Lenti-X qRT-PCR Titration Kit (Clontech)を用いて測定した。まず、脂肪組織由来間質細胞へのレンチウイルスベクターによる遺伝子導入効率を解析した。Lentivirus-GFPベクター添加後48時間においてFACSを行い、GFP陽性細胞率を評価した。多重感染比(MOI: copies/cell)とGFP陽性細胞率は、MOI 4.5x10^2、1x10^3、2x10^3、3x10^3、にて、それぞれ6.6%、16.9%、24.4%、41.9%、であった。肝細胞および胆管細胞に関連する転写因子HNF4aおよびHNF1bとGFPを発現するプラスミドを入手した(Origene)。また、Lenti-XTM HTX packaging systemにてHNF4aおよびHNF1bを発現するレンチウイルスベクターを作製した。昨年度までにNucleofectorTM 2b(Lonza)を用いたエレクトロポレーション法による遺伝子導入に関する基礎的検討が終了しているが、本年度のレンチウイルスベクターによる遺伝子導入に関する基礎検討が終了し、来年度以降の肝細胞、胆管細胞への分化に関する検討への遺伝子導入法の基礎的検討が終了した。
2: おおむね順調に進展している
エレクトロポレーション法ならびにレンチウイルスベクターによる遺伝子導入の条件が確立され、HNF-4alpha、HNF-1beta遺伝子を発現するプラスミドおよびレンチウイルスベクターを準備した。これらの遺伝子の導入による脂肪組織由来間質細胞の肝細胞、胆管細胞への分化に関する検討の基盤が整った。
HNF-4alpha遺伝子、HNF-1beta遺伝子を、エレクトロポレーション法あるいはレンチウイルスベクターを用いて脂肪組織由来間質脂肪へ導入した細胞について、アルブミン、α-フェトプロテイン、CK8、CK18、CK19等の肝細胞、胆管細胞に関連する遺伝子発現、蛋白発現について次年度検討を行う。遺伝子導入後の細胞について、経時的にアルブミンなど、肝細胞、胆管細胞に特異的な遺伝子、蛋白発現を評価し、前臨床肝疾患マウスモデルでの検討前の基礎的な評価を行う。これらの遺伝子導入によって分化した細胞について、マウス肝細胞、胆管細胞との類似性、相違性について、検討を行う。これらの検討によって、肝臓を構築する細胞に関連する転写因子遺伝子の導入による脂肪組織由来間質細胞の分化能についての改善点を見出し、さらなる改良を行っていく。これらの検討において、抗体、リアルタイムPCRのプローブ、プラスミド大量調製の試薬等の購入を予定する。
前年度最適化したエレクトロポレーションによる遺伝子導入条件および本年度最適化したレンチウイルスベクターによる遺伝子導入条件によって、肝細胞、胆管細胞への分化に重要である転写因子HNF-4alphaおよびHNF-1betaを発現するプラスミド、レンチウイルスベクターを、マウス脂肪組織由来間葉系幹細胞へ導入し、肝細胞、胆管細胞への分化誘導を試みる。遺伝子導入により分化誘導を条件づけた細胞について、経時的にアルブミンなど、肝細胞の特異的遺伝子、蛋白発現を評価し、前臨床肝疾患マウスモデルでの検討への基礎的な評価を行う。これらの検討において、抗体、リアルタイムPCRのプローブ、プラスミド調製、レンチウイルスベクター調整の試薬等の購入を予定する。
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