研究課題/領域番号 |
23590969
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
梅村 武司 信州大学, 医学部附属病院, 講師 (30419345)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | HLA / 原発性胆汁性肝硬変 / 自己免疫性肝炎 |
研究概要 |
本研究は次世代シークエンサーを用いて、HLA領域に遺伝要因が存在する自己免疫性肝炎(AIH)、原発性胆汁性肝硬変 (PBC) 患者のHLA領域のリシークエンシングを行い、真の疾患感受性遺伝子とその多型・変異を特定し、臨床応用へと展開することが目的である。 平成23年度は集積してきたAIH 130例、PBC 229例の検体を用いて、HLA遺伝子5座 (HLA-A、-B、 -C、-DR、-DQ) のタイピングを施行した。健常人のデータと比較するとAIHではDRB1*04:05-DQB1*04:01ハプロタイプ、PBCではDRB1*08:03-DQB1-06:01ハプロタイプが患者で有意に高率に保有していることが明らかとなった。PBCではDRB1*13:02-DQB1*06:04 ハプロタイプとDRB1*11:01-DQB1*03:01 ハプロタイプが疾患抵抗性と有意な関連を認め、さらにDRB1*09:01-DQB1*03:03ハプロタイプは肝移植、肝硬変患者で高率であり、病態の進展度と関連がある事を明らかにした。 特にDRβ部位のアミノ酸配列の検討では13番、16番、47番、57番、74番のアミノ酸配列がPBC患者で有意な関連を明らかにした。 以上よりHLAとAIH、PBCの間には疾患感受性、病態進展について強い関連が示唆されるためHLA領域のリシークエンシングを行い、真の疾患感受性遺伝子とその多型・変異を特定し、臨床応用へと展開することは重要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
23年度は予定通りAIHとPBC患者のHLAタイピングを施行し、解析も終了した。さらに、その中からA24-B54-DR4-DQ4ハプロタイプホモ接合体を有するAIH5例、健常対照群5例、A2-B46-DR8-DQ6ハプロタイプホモ接合体を有するPBC 5例、健常対照者5例ずつ探し、次世代シークエンサーでHLA領域のリシークエンシングを施行中であり予定通り順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
AIH、PBCにおいてリシークエンシングを行い、ゲノム配列の決定 23年度に決定されたHLAハプロタイプからA24-B54-DR4ハプロタイプホモ接合体を有するAIH 5例、健常対照群5例、さらにA2-B46-DR8ハプロタイプホモ接合体を有するPBC 5例、健常対照者5例ずつ選び、次世代シークエンサーを使用してHLA領域と非HLA領域について同様にリシークエンシングを行い、直接塩基配列決定法を用いてゲノム配列の決定をする。 疾患感受性HLA遺伝子ならびに連鎖不平衡にある非HLA遺伝子の同定 患者群と健常者対照者群において決定されたHLA領域と非HLA領域のゲノム配列、HLAハプロタイプ、HLAから非HLAにかけての広範なハプロタイプについての膨大なデータについてそれぞれ比較検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初計画で見込んだよりも安価に研究が完了したため、次年度使用額が生じた。 来年度はHLA領域と非HLA領域についてリシークエンシングを行い、直接塩基配列決定法を用いてゲノム配列の決定を行う。この際に使用する次世代シークエンサーによる遺伝子解析ではPCRや泳動、塩基配列の決定の際に使用する消耗品が必要であり購入する。 さらに、疾患感受性を規定するHLAハプロタイプ、SNP、稀少多型、変異を抽出する予定である。それぞれの遺伝子多型・変異の検討についてはTaqManプローブ法を用いた解析を行う。この研究実験の際に使用するTaqMan PCR用のプローブ、プレートなどの消耗品を購入する予定である。 研究発表を海外学会で報告するための旅費に使用する。
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