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2011 年度 実施状況報告書

炎症・ウイルス感染環境下での肝構成細胞の免疫・代謝応答の解析

研究課題

研究課題/領域番号 23590970
研究機関名古屋大学

研究代表者

石川 哲也  名古屋大学, 医学部, 教授 (10288508)

研究分担者 石上 雅敏  名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (90378042)
上山 純  名古屋大学, 医学部, 准教授 (00397465)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワードケモカイン / サイトカイン
研究概要

肝細胞を始めとする肝構成細胞が、炎症・免疫応答にどのように反応し、その後の炎症・免疫、代謝などの生体応答にどのような影響を与えるかを解析する目的で、それぞれの肝構成細胞をin vitro での炎症刺激による擬似肝炎環境下におき、ケモカイン/サイトカイン、自然免疫関連分子群、細胞内蛋白・脂質代謝への影響を解析することを計画した。これにより、これまで個体レベルで総和としてみていた肝炎という現象を、細胞レベルで詳細に解析することを目的とした。まずは、肝癌細胞株における炎症刺激に対する免疫応答の解析と至適刺激条件の決定を行うために、3種の肝癌細胞株(HepG2、Huh7、Hep3B)を用い、炎症性サイトカイン刺激下での、ケモカイン/サイトカイン発現に及ぼす影響を解析した。細胞刺激にはIL-1a、TNF-a、IFN-g、IL-4、IL-10、TGF-bを単独あるいは組み合わせて用い、IP-10、Mig、TARC、MDC、IL-8、MCP-1、RANTES、TNF-a、IL-6、IFN-g発現をRT-PCRあるいはreal-time PCRで解析した。事前のHepG2を用いた検討では、IL-1a刺激によるIL-8、IP-10、MCP-1の発現増強、IFN-g刺激によるIP-10、Mig、RANTESの発現増強、IL-1a、IFN-gとIL-4との拮抗作用などが明らかとなっていたが、今回用いた肝癌細胞株の間では非刺激時、刺激時ともケモカイン/サイトカイン発現のパターンがやや異なっていた。一方で、IFN-g刺激時のIP-10、Mig発現増強など、ある程度、細胞株間で共通してみられる反応パターンもあったため、これらについて、刺激条件(サイトカイン濃度、刺激時間)などを変えて再確認を行うとともに、シグナル伝達経路の解析を新たに計画し実施中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

各種炎症刺激に対する肝癌細胞株間での反応の差異が明らかとなり、各刺激条件を変更しての再確認、至適刺激条件の決定などの検討が必要となったため、当初の予定した計画から遅れが生じた。実施が遅れている研究内容は、(1)自然免疫関連分子群の発現の解析、(2)培養上清中のケモカイン/サイトカインの蛋白量の解析、(3)被刺激肝癌細胞における蛋白・脂質代謝に関する解析などであるが、(1)については既に作成した試料の利用が可能であり、(2)、(3)も各細胞のサイトカインによる至適刺激条件が決定すれば比較的早期に実施可能となる見込みである。現状での達成度は当初の計画の7割程度と考えられ、各種細胞株間の差異についてはさらに詳細に解析する必要性があると考えられるため、平成24年度に計画する研究実施内容は、当初予定より増加する。これらを含めて、平成24年度の計画に組み入れての実施を考えている。

今後の研究の推進方策

まずは、各種炎症刺激時の至適刺激条件の決定などの確認作業を行う。その後、平成23年度計画で未実施の、各肝癌細胞株のサイトカイン刺激下での自然免疫関連分子群(TLR2、3、4、7、8、RIG-I、IPS-1、ISG15)の発現の解析、培養上清中のケモカイン/サイトカインの蛋白量の解析、被刺激肝癌細胞における蛋白・脂質代謝に関する解析を行う。蛋白・脂質代謝の解析項目は、当初の予定通り、アルブミン、SREBP-1、FAS、ACCの細胞内mRNA発現をRT-PCRあるいはreal-time PCR法で、培養上清のアルブミン定量をELISA法で、細胞内脂質の定量を臨床検査キット、高速液体クロマトグラフィー及びガスクロマトグラフィーで行う予定である。また、肝癌細胞株間の差については、STAT、SOCSを中心としたシグナル伝達経路を中心に解析の予定である。その後、平成24年度の計画として予定していたヒト初代肝細胞、類洞内皮細胞、星細胞を用いた解析を行う予定とする。これにより、肝癌細胞株と初代肝細胞との間、あるいは肝細胞とその他の肝構成細胞との間での、炎症刺激に対する反応の共通点、相違点を解析する。研究計画の遅れを補い、研究計画の追加に対応する目的で、研究補助員の雇入れを計画している。

次年度の研究費の使用計画

平成24年度の研究費については、研究補助員の雇い入れに約40万円(約10万円/月、当面4か月を予定)、細胞株の購入費用に約30万円、残額の約30万円を消耗品費(real-time PCRなど分子生物学関連試薬、培養関連試薬・機器、ELISAキット、臨床検査試薬など)に充てる予定である。研究補助員の雇い入れ費用については、一部、当初予定していた旅費(海外)より充当することとする。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)

  • [雑誌論文] Prevalence of hepatitis C virus genotype 1a in Japan and correlation of mutations in the NS5A region and single-nucleotide polymorphism of interleukin-28B with the response to combination therapy with pegylated-interferon-alpha 2b and ribavirin.2012

    • 著者名/発表者名
      Hayashi K, Katano Y, Kuzuya T, Tachi Y, Honda T, Ishigami M, Itoh A, Hirooka Y, Ishikawa T, Nakano I, Urano F, Yoshioka K, Toyoda H, Kumada T, Goto H
    • 雑誌名

      J Med Virol

      巻: 84 ページ: 438-444

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Association of interleukin 28B and mutation in the core and NS5A region of hepatitis C virus with response to peg-interferon and ribavirin therapy.2011

    • 著者名/発表者名
      Hayashi K, Katano Y, Honda T, Ishigami M, Itoh A, Hirooka Y, Ishikawa T, Nakano I, Yoshioka Y, Toyoda H, Kumada T, Goto H.
    • 雑誌名

      Liver Int

      巻: 31 ページ: 1359-1361

    • 査読あり

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公開日: 2013-07-10  

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