研究課題
新規パラメーターを用いた肝癌化学療法効果予測を課題として研究を進めてきた。目的は1)我々が見出した肝細胞癌の予後に関与するフォリスタチンの、予後予測因子としての有用性の検証・機能解析を行う。2)網羅的糖鎖解析、薬剤の細胞への直接効果を測定する薬物動態的な解析など、新しい視点からの進行肝細胞癌治療予測パラメーターを確立する。3)得られた新規予測パラメーターを、構築済みの臨床データベースと組み合わせ、統合データベースを作製し、時間依存性共変量解析やデータデータマイニング等、新しい方法論を用いた化学療法効果予測インデックスを構築し、患者の予後改善に結びつけるというものである。1)のフォリスタチンについては、腫瘍径の大きい場合や、門脈浸潤のある症例で高値であることを明らかとすることができており、現在培養細胞株を用いた機能解析を施行している。2)の治療予測パラメータについては、治療前の血清サイトカイン発現と、肝細胞癌に対する分子標的薬であるソラフェニブや、従来より広く行われている低用量5フルオロウラシル+シスプラチン動注療法の効果との関係を解析した結果、5フルオロウラシル+シスプラチン動注療法では明らかな関係が認められないのに対し、ソラフェニブは血管新生に関与しているサイトカインの発現量が少ない腫瘍に対しての治療効果が高いことを明らかにすることができている。現在、これらのサイトカインが予後予測因子として、他の症例にも当てはまるかどうか、検証実験を行っている。予後因子としての重要性が確立されれば、現在どの治療法を選択するかという臨床上の疑問に答えることができると考えられる。糖鎖については副作用予測に有用である可能性のあるデータを得ており、さらに症例数を重ねて検討している。3)の予後予測インデックスの構築はこれらの基礎データの有用性が確立したのちに構築可能となる。
2: おおむね順調に進展している
治療予測パラメーター解析は良い結果が得られたため、重点的に進めているため予想より早く進行しているが、フォリスタチンについては、その影響でやや遅れ気味である。全体としては順調に進展している。
予定通り現在の研究を進める。いずれの研究も今後その検証が必要であり、症例数を増やし検討する。また、新たなインデックス構築についても、着手してゆく。
現在進行中の研究を継続、推進するために用いる。また、研究発表のための学会参加費用にも用いる。
すべて 2011
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (7件)
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