研究課題/領域番号 |
23590977
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
山本 和秀 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (90140491)
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研究分担者 |
能祖 一裕 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (10314668)
白羽 英則 岡山大学, 大学病院, 講師 (40379748)
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キーワード | iPS細胞 / 肝細胞分化 / 肝不全 / 再生医療 |
研究概要 |
本研究では、マウス尾細胞からiPS細胞を作成し、これを肝細胞へ分化誘導したうえで急性または慢性肝不全モデルに自家移植し、各種の評価を行うことを最終目的とする。これを達成するための当初計画は、1)ウイルスベクターキットを用いたマウス尾細胞からのiPS細胞の作成・品質評価、2) マウスiPS 細胞の肝細胞分化、3)分化細胞のマウスへの移植である。 1)マウス尾細胞からのiPS細胞の作成・品質評価について、まず任意のマウス尾切片より線維芽細胞を抽出し、培養する方法を確立した。次いで、4種類のリプログラミング因子をもつminicircle DNAおよびレンチウイルスベクターを用い、iPS細胞の作成作業を行ったが、iPS細胞の樹立に至らなかったため、京都大学で確立されたレトロウイルスベクター法を採用した。PLAT-E細胞を利用してOct3/4、Sox2、Klf4、c-Myc遺伝子を有するレトロウイルスベクターを作成し、マウス線維芽細胞に対して遺伝子導入を行い、iPS細胞を樹立した。 2)iPS細胞から浮遊培養にて胚様体を形成し、その後胚体内胚葉を誘導、さらに肝細胞へと誘導し、マウスiPS細胞由来肝細胞を作成し、肝細胞に類似した遺伝子発現、代謝機能をもつことを確認した。これらの結果については、一部をBiomed Eng Online誌(Iwamuro M, et al. 2012)に発表した。 3)上記のマウスiPS細胞由来肝細胞を用いて、SCIDマウスに門脈経由で細胞移植を行った。しかしながら12週間後の時点で奇形腫の形成があり、分化誘導の最終段階においても未分化細胞が残っている可能性が示唆された。奇形腫形成の危険性を除去し、細胞移植の安全性を高めるため、分化誘導方法の改善を行った。
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