研究課題/領域番号 |
23590978
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
山崎 隆弘 山口大学, 医学部附属病院, 准教授 (00304478)
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研究分担者 |
山本 直樹 山口大学, 大学教育機構, 講師 (90448283)
寺井 崇二 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00332809)
坂井田 功 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80263763)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 肝細胞癌 / Deferasirox / Deferoxamine / 鉄キレート剤 / Sorafenib / DEN肝発癌モデル |
研究概要 |
DENとCDAA(Choline-deficient L-amino acid-defined diet:コリン欠乏食)を併用する肝発癌誘導ラットモデルを作成し、Deferasirox投与群とSorafenib投与群(通常量,半量), Deferasirox+ Sorafenib投与群、コントロール(非投与群)に分け、餌と経口飲水で持続投与を12,16,20週間行い、非投与対照群と比較した。Deferasirox投与群とSorafenib投与群では非投与群と比べ、体重、肝重量が有意に軽かった。また試験開腹し肉眼で判明する腫瘍径を計測したところ非投与群と比較し腫瘍の増大は有意に抑制された。Deferasirox+ Sorafenib投与群では、腫瘍径に関して非投与群と比較し腫瘍の増大は有意に抑制され、体重減少や皮膚症状等副作用は殆ど認めなかった。Sirius Red 染色による肝線維化評価では、Deferasirox・ Sorafenib各単独投与群より併用群の方が有意に肝線維化抑制効果を認め、GSTP染色では、同様に併用群の方が単独群よりさらに前癌病変抑制効果を認めた。また組織中の8-OHdGの解析では単独群より併用群の方がさらに優位に酸化ストレスを抑制していた。鉄キレート剤は従来の抗腫瘍剤ではなく、DNA障害などは少なく、より特異的に作用する可能性があり、分子標的薬との併用により、従来の抗腫瘍薬抵抗性進行肝癌に対して、さらに抗腫瘍効果が得られる可能性を今回の研究で認めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
DENとCDAA(Choline-deficient L-amino acid-defined diet:コリン欠乏食)を併用する肝発癌誘導ラットモデルを作成し、Deferasirox投与群とSorafenib投与群(通常量,半量), Deferasirox+ Sorafenib投与群、コントロール(非投与群)での動物モデルでの治療効果解析を順調に行なっている。
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今後の研究の推進方策 |
DENによる発癌マウスモデルでのDeferasirox投与群とSorafenib投与群(通常量,半量), Deferasirox+ Sorafenib投与群、コントロール(非投与群)等肝発癌動物マウスモデルでの治療効果解析を進めていく。小動物用代謝測定システム MK-5000RQ(MUROMACHI CO.LTD)を利用して, SorafenibとDeferasirox投与前後と治療群・未治療群で代謝能力・栄養での治療効果を比較し,栄養・代謝機能が治療効果にどのように関わっているかを解析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
DENとCDAA(Choline-deficient L-amino acid-defined diet:コリン欠乏食)を併用する肝発癌誘導ラットモデルだけでなく、DENによる発癌マウスモデルでDeferasirox投与群とSorafenib投与群(通常量,半量), Deferasirox+ Sorafenib投与群、コントロール(非投与群)での動物モデルでの治療効果解析を行う。そのために、マウス・ラットを購入予定である。さらにin vitroでHepG2,HuH7,HLF,HLEなど様々な肝細胞癌株を用いることにより、Sorafenib,Sorafenib+Deferasirox, Deferasiroxの投与による細胞増殖制御の有無やアポトーシスの誘導等を評価する。今回は以前購入していたラットでの研究であったため、新たな動物モデルの購入の必要がなかったため、未使用研究費が生じたが、次年度は、大量のラットモデルだけでなくさらに大量のマウス動物モデルを使用する計画であるため、翌年度以降の研究費と合わせて利用したいと考えている。
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