研究課題/領域番号 |
23590979
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
小野 正文 高知大学, 医療学系, 講師 (70304681)
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研究分担者 |
西原 利治 高知大学, 医療学系, 教授 (60145125)
越智 経浩 高知大学, 医学部附属病院, 医員 (30617840)
宗景 玄祐 高知大学, 医学部附属病院, 医員 (60617843)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | NASH / NAFLD / Kupffer細胞 / miRNA / アポトーシス |
研究概要 |
これまで我々は、Kupffer細胞の機能異常が非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の病態進展において需要な役割を果たしていることを明らかにしてきた(Gut. 2010; 59(2): 258-66)。また、本研究費助成による研究成果としては、NASHの病態におけるKupffer細胞の膨化と分化、増殖のメカニズムについての検討では、NASHにおけるアポトーシス過剰発生と腸管におけるバクテリアトランスロケーションの変化や門脈、大循環でのエンドトキシン血症の存在が重要であることを明らかにし報告した(Liver Int. 2011; 31(4): 542-51, Hepatol Res. 2011;41(12):1223-9, J Gastroenterol Hepatol. 2012; 27(4): 622-4.、第15回日本肝臓学会大会.シンポジウム、福岡,2011)。さらに、エンドトキシン血症によるKupffer細胞の活性化や貪食能にはKupffer細胞表面に存在するtoll like receptor4 (TLR4) および、TLR4からの細胞内シグナル伝達が重要な役割をはたしていることが明らかになった。TLR4欠損マウスではNASHになりにくい状態になることが明らかとなった。その理由として、エンドトキシン刺激によるKupffer細胞からの炎症性サイトカインの分泌・活性化が起こらない状態になっているともに、Kupffer細胞の貪食能の低下が認められず、細胞の膨化も起きない状態になるなど、TLR4はKupffer細胞の炎症性サイトカイン分泌のみならず、貪食能における機能的役割においても中心的な役割の一つであることが明らかになった。このように、研究助成により研究成果が上がっているものと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年から本年度にかけて多くの研究データーが出ており、その実験結果に関する数多くの論文発表と学会での報告が上記の通り行われており、当初の通り計画は順調に進行していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
当初の実験計画通り、NASHのKupffer細胞と正常肝におけるKupffer細胞のmicro RNA (miRNA)およびRNAの網羅的解析が現在進行中であり、NASHにおけるKupffer細胞の遺伝的変化の特徴を捉えることにより、Kupffer細胞の異常状態のメカニズム解明につなげて行く。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度の計画に基づく経費執行について、4月に支払いすべき経費が残っているため、次年度使用額が存在するようにみえるが、実際には、全額を執行予定である。そのため、次年度の研究は当初の計画通り進める予定である。次年度の研究費の使用計画としては、miRNAおよびRNAのマイクロアレーによる網羅的解析を行うとともに、その後の詳細解析が必要になる。このため、これら解析に必要な予算すべてを本研究費で賄う予定としている。
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