研究課題/領域番号 |
23590980
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
直江 秀昭 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (30599246)
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研究分担者 |
佐々木 裕 熊本大学, 生命科学研究部, 教授 (70235282)
横峰 和典 熊本大学, 生命科学研究部, 助教 (60530128)
藤元 治朗 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (90199373)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 消化器癌 / 浸潤・転移 / 細胞骨格 / 細胞運動 |
研究概要 |
細胞周期の進行は関連分子のリン酸化(活性化)と分解という二つの生化学的反応によって厳密に制御されている。後者を担うものがユビキチンリガーゼであり、中でもAnaphase promoting complex (APC)はCyclin BやGeminin等の分解を司る重要な役割を担っている。今回我々が注目しているCdh1は、分裂期前中期からG1期の終わりにかけてAPCの活性を維持している活性化因子の一つである。このようなAPC調節作用に加えて、Cdh1の機能の新たな一面が近年、報告されている。例えば、APC/CCdh1は分裂を終えた細胞が大部分を占めるニューロンにおいても発現し、活性を持っており、軸索の伸長とパターン化を促進することが明らかになった(Konishi et al. Science 2004)。さらに重要な報告として、申請者はCdh1が細胞骨格と細胞運動の制御に関与しているという生理的機能を明らかにした(Naoe et al. Mol Cell Biol.2010)。本研究では、消化器癌の発生・進展において細胞周期調節因子Cdh1が果たす役割を明らかにすることを目的としている。まず、複数の大腸癌細胞株を用いてCdh1の蛋白質発現量の比較を行った。6種類の大腸癌細胞の抽出液でウエスタンブロットを行い、LoVo細胞において特にCdh1の蛋白質発現量が多いことが明らかになった。次に、この細胞でCdh1の発現量を変化させるために、2種類のsiRNAを作成した。実際にLoVo細胞にsiRNAトランスフェクションを行い、2種類ともに効率的にCdh1の蛋白質発現量を減少させることを確認した。現在、この方法でCdh1の発現量を減少させたLoVo細胞を用いて、細胞骨格や増殖能、運動能の変化を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
数種類の大腸癌細胞株の中から、Cdh1の蛋白質発現量が多い細胞株を同定し、効率よくその発現を抑制することが可能であった。しかし、その後の細胞形態や増殖能、運動能の変化についての検討は十分にできていない。
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今後の研究の推進方策 |
Cdh1の蛋白質発現量を変化させた大腸癌細胞株における、細胞形態、増殖能、運動能の評価を行うと共に、同じサンプルを用いたcDNAマイクロアレイによる遺伝子発現の網羅的解析を進める。網羅的な解析に加えて、Pathway解析等のbioinformatics的検索を統合し、Cdh1を中心とした上流、下流の関連する分子群とのNetworkを明らかにする。そのnetworkの中から消化器癌の発癌進展において、Cdh1機能を担う分子群を明らかにすることを最終的な目標とする。
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次年度の研究費の使用計画 |
・Cdh1の蛋白質発現を変化させる前と後の細胞抽出液から、cDNAマイクロアレイ解析を行う。・動物実験用のマウス購入費用、維持費用。
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