細胞マイクロアレイシステムを用いて精製された、B型肝炎ウイルス(HBV)ワクチン(ビームゲン、遺伝子型C、adr)接種後から得られた抗体のうち、最も中和活性の高いモノクロナール抗体(HBV116抗体、478抗体)を取得した。この抗体を用いてヒト肝細胞キメラマウス(uPA/SCID mice)におけるHBV中和試験を行った。感染源については3種類の1.24倍長HBV複製モデルを作成し(遺伝子型A野生株、C野生株、C-145R導入変異株)、これをHuh7細胞にtransfectionしてできた培養上清をuPA/SCID miceに接種し、回収されたマウス血清を材料として感染実験を行なった。HBV116抗体およびIBV478抗体10μg投与群の遺伝子型A(n=3)および遺伝子型C(n=3)野生株HBW群では全例でHBV-DNAの検出はされなかった。さらにHBV116抗体およびHBV478抗体を1μgへ減量後のHBV感染源投与においても遺伝子型A(n=3)および遺伝子型C(n=3)野生株HBV群ではHBV-DNAの検出はされなかった。Huh7細胞にHBV複製モデルをtransfection後の培養上清において遺伝子型C-145R導入変異株では遺伝子型C野生株と比較してHBs抗原に対する反応性の低下を認めた。また細胞内のHBV複製能について遺伝子型G-145R導入変異株では遺伝子型C野生株と比較して低下していた。ヒト肝細胞キメラマウスを用いたC-145R導入変異株中和試験においてはHBV478抗体群では全例でHBV-DNAの検出はされなかったが、HBV116抗体群では3/3例でHBV-DNAが検出された。遺伝子型CのHBワクチンで遺伝子型AのHBV感染防御が可能であると考えられたが、HBV145Rに対するHBVワクチンによる感染阻止は限定的であった。
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