研究課題/領域番号 |
23590996
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
米田 政志 愛知医科大学, 医学部, 教授 (30261407)
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研究分担者 |
中尾 春壽 愛知医科大学, 医学部, 教授 (60326139)
中出 幸臣 愛知医科大学, 医学部, 講師 (70431400)
シバスンダラン カルナン 愛知医科大学, 医学部, 助教 (30557096)
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キーワード | NASH / 肝発癌 / オリゴCGHアレイ / コリン欠乏食 |
研究概要 |
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)からの肝発がんメカニズムを検討するため、コリン欠乏アミノ酸食(CDAA食)および対照食であるコリン添加アミノ酸食(CSAA食)を投与開始してから6、12、24、48週後に得られた肝組織よりRNAを抽出した。得られたRNAよりcDNAに逆転写し、Agilent社のWhole rat genome CGH マイクアレイにてCDAA群を赤色蛍光色素(Cy3)に、CSAA群を緑色蛍光色素(Cy5)で標識しハイブリダイズさせ蛍光シグナル強度を測定した。また本実験にあわせてCDAA食およびCSAA食を投与し、投与開始25週目からアンギオテンシンII受容体拮抗剤であるテルミンサルタンを2 mg/kg/dayで投与し48週目まで継続した。前年度に確認されているCDAA食投与48週摂食群ではその約半数のラットに肝発がんが認められたが、テルミサルタン投与群では肝発がんがみとめられなかった。また前癌病変のマーカーであるGST-P陽性細胞および肝線維化に関わる活性化星細胞のマーカーであるalpha-SMA陽性細胞は両者ともにテルミサルタン群は対照群にくらべ有意に減少した。テルミサルタン投与群においても得られた肝よりRNAを抽出し、上記同様にWhole rat genome CGH マイクアレイにてCDAA群を赤色蛍光色素で標識しハイブリダイズさせ蛍光シグナル強度を測定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コリン欠乏食を投与することで肝線維化進行に伴い肝前癌病変数が増加し、48週間投与することで約半数のラットに肝発がんを確認でき、アンギオテンシン受容体拮抗剤投与が肝線維化および肝発がんを抑制することが確認できた。肝よりRNA抽出をおこない、スライドグラス上での標識されている検体をハイブリダイズさせ蛍光シグナル強度を測定した。マイクロアレイ解析よりも先にテルミサルタン投与モデルでの肝発がん抑制モデル作成を優先し行ったことにより、実験が遅延している可能性が考えられた。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度遂行予定であった、CY3およびCY5の蛍光シグナル測定および得られた測定値の分析をfeature extractionソフトウエアを用いて行い、遺伝子のリストアップを行ってさらにResolverソフトウエアを用いて、コリン欠乏食群が対照群に比べどのような遺伝子発現が増減しているかを定量していくこと。またアンギオテンシン受容体拮抗剤でどのような遺伝子発現が変化していくかを確認し、肝発がん過程における遺伝子発現解析を行っていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度はマイクロアレイによって得られたデータを解析するための物品を購入予定である。Agilent feature gene extraction softwareおよびrosetta resolver gene expression data analysis system また、追加の実験で肝よりRNAを抽出するために使用するTrizol reagent (Invitrogen),RNeasy Mini Kit (Qiagen), CRNA Reverse Transcription Kit (Applied Biosystems), RNase-free DNase Digest Set (Qiangen)を購入する予定である。
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